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今日はこんなご質問がありました。
by:ひろしバイクどっとこむ掲示板より
「雨の日にエンジンのかかりがもの凄く悪いのですが、原因は何が考えられますでしょうか?」
ここで大事な問題は、「※晴れの日はエンジンが元気にかかるか?」という点です。
どちらもかかりにくいのであればもちろん他に原因がありますし、または複合で原因があります。
他の方でもバイク屋さんに、「Fi車なので10年前くらいの話ですが雨でも元気に乗れます。」と言われて買ったという声なんかもありました。
これ結構多くの方が直面している問題のはずですので簡単に話してみたいと思います。
条件付きとして「かかりそうでかからない」「晴れの日は絶好調」のシンプルな場合のお話です。(要は水漏れ浸水など除く)
Fi(ヒューエルインジェクション)車の場合
Fi車の場合は出てきた当初、キャブ車の弱点ともいえる天候(特に気圧)に左右されずにエンジンがかかるという物でした。
しかし冒頭のご質問のように雨の日にエンジンがかかりにくくなります。
これは私の経験からでもそれは事実言えます。
Fi車の場合は、スロットル開閉度信号・排気ガス信号・その他信号によって燃料排出量調整が決まりますので難しくはありますが、晴れの日元気ならば燃料装置が根本な原因とは言えませんのでここがキャブレター車との大きな違いで天候に左右されにくいと言われていた根源だと思います。
もちろん排ガス規制などもありますがそれは今回関係無しで。
かつ負圧などを使用せず、タンク内(外)にある燃料ポンプによって機械的圧力にてガソリンをシリンダー点火室へ押し出します。
ですのでFi車の場合はガソリンタンク上から燃料ホースあるものもあれば、キャブ車の様にタンク下にあるものもありますが基本どちらにあろうがポンプ押し出しなので関係ありません。
ただ実質そうはいかないのが信号での燃料の方では無く「物理的に取り入れる酸素の方の問題」です。
雨の日はとうぜん湿度が一気に上がりますので、エアエレメントが詰まりやすくなります。
これにより爆発に必要な条件の、「燃料・酸素・火」のうちの酸素が足りなくなるのでエンジンがかかりにくいと考えれます。
手っ取り早い証明方法としては、雨の日に”室内にて(必ず)”エアエレメントを外してエンジンをかけてみたら解ります。
すんなりかかるはずですのでその場合はエアエレメント交換。
これでもかかりにくい場合は他に原因がありますし、または他に(も)原因があります。
キャブレター車の場合
キャブレター車の致命的弱点の最大といっても過言では無いと思いますが、天候に左右されやすいという特徴があります。
けっきょく先ほどの事からFi車も左右はされますがキャブよりは左右されにくいです。
一番は気圧になりますが当然湿度も関係あります。
キャブ車は燃料装置がキャブレターなのでガソリンをキャブチャンバー室にもってくるのに負圧を利用します。
重力式燃料ルートの場合は負圧にてコック開閉弁を動かしたり(昔のジャイロ等)、負圧によってタンクから吸い出したりしてキャブレターチャンバー内に燃料を溜めて排出しますので、天候という表現もありますが外気圧により左右されると言われています。
それもありかどうかは別として、キャブ車は基本重力で落ちるように燃料タンクの下にホースが繋がっています。
かつ、Fiと共通でエアエレメントに関しては「湿式」であれ「乾式」であれ雨が降れば湿度が上がる事に変わりはありませんので吸気力が下がりますゆえにこちらも酸素不足に陥りやすいという事です。
注意ポイント
念の為に大事なもう一点。
キャブレター車は燃料装置であるキャブレターに繋がる手動チョークや、キャブ自体に付いてるオートチョークなどがあります。
チョーク機能自体無いバイクももちろんあります。
このオートチョーク・燃料増量装置が整備時に良く困る原因でして、始動性には凄くかかわりのある部品ですので惑わされます。
しかも不具合よく出るので尚更なんです。
オートチョークは電気・温度に連動して伸び縮みする部品ですが、エアクリボックス内のエアエレメントを外すとコンペ(ン)セーターという温度計部品があります。
これがオートチョークに連動して暖かいと素早い動きでチョークを閉じたり(伸びる)、動かなかったりとかします。逆に寒いとゆっくり閉じたり・長めにニードル全開状態にしたりして、キャブの通常ガソリンルート以外から増量ルートを開放してます。
あと凄いもので長さを1ミリ伸ばして保ったりもしてます。
つまり外気と雨の日を一緒に考えるかどうかでも修理の判断材料考察が変わってきます。
ただし、今回のテーマは「雨の日」ですので気候は一旦除外しておきます。
それ位キャブは外気・天候に影響されやすいと思っていて頂ければ問題ありません。
という事で2点の原因となりFi車より調子が悪くなりやすいとも言えます。
ここで対処法に大きな差が生まれてしまい、エンジン始動が悪い場合キャブレター車の場合どうしてもキャブ詰まりを疑ってしまいますので予想がしにくく作業が多くなりがちなんです。
ですので冒頭話した、「雨の日にエンジンはかかりにくい」に続いて「じゃあ、晴れの日はどうなのか?」が凄く重要になってきますというお話です。
どちらの日も調子悪いなら他にも原因があるため複合修理。晴れの日は絶好調ベストセッティングなら雨の日は諦めるのも一つ。
簡単に言うとキャブ車はそういうものですと。
さて問題はここからです。
上記の様に晴れの日は元気ならキャブ車もエアエレメント変えたらすんなりかかるのでは?という所ですが、気圧に左右されるキャブ車はその対処で直る事もあればご機嫌斜めな事もあります。
ですのでエアスクリュー気持ち開けたりアイドルスクリューで燃料少し減らしたり、キャブのセッティングを変更したり可能ですが、厄介なのが雨の日用セッティングは晴れの日用セッティングとは異なります。
ただこれはFi車には出来ない事なので、「めんどくさいな」という人もいれば「やはりキャブは便利」という人もいますので一長一短です。