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※今回のタップねじ切り「以外」の作業は車検通す為にどうしてもという元での作業ですので、完全自己責任かつお問い合わせ受け付けません。
リクエスト整備です。
ミニバン系でトランポ改造や仕事などで、セカンドシート等の脱着が多いと、負荷のかかる部分なのでいつかはなめてしまいやすくなります。
ハイエースやキャラバン・軽バンとかでも同じ事が言えます。
脱着の場合はセカンドシートとサードシートがほとんどでしょうが、特にセカンドシートが折り畳みタイプの場合は負荷が動作する度にかかるので注意が必要です。
もともと車屋さんに言われていた事なのですが、同じ現象が知り合いにも起こりました。
ボルトは交換すればOKですが、車体下のナット側はそう簡単にはいきません。
車のシートを留めているナットネジは
「車体裏(地面側)から3点溶接されている”大型フランジナット”」です。
(細かくいうと更にこのナットは溶接用板へ溶接されてその板をさらに本体へ溶接されていますがここは省きます)
早速修理メンテしていきたいと思います。
今回は2パターンでのご紹介です。
車のシートのボルトネジなめの修理方法
基本的には車のシートネジナット(車体裏溶接側)は舐めても”外したらダメ”です。
安全上の問題もありますので、タップで同サイズ、又は一回り大きいサイズでねじ切りをして綺麗にしてあげるのが前提となっています。
シート側のボルト通し穴も脱着時の遊び含め大き目に出来ていています。
但し、そのタップで一回り大きくしたナット(車体裏溶接側)も再び舐めた場合、溶接ナットを外して交換せざるをえません。
今回の修理はセカンドシートのここのネジナットです。
通常の場合:
通常シートナット(車体裏溶接側)がなめた場合はタップで綺麗にネジ山を修正してあげれば直ります。
軽度でまだ脱着出来るからといって安全を無視して乗るのは辞めておきましょう。
ボルトやナットの締め時に違和感を感じたら、早めであればあるほどすぐ直ります。
タップ&ダイスとは?
- タップ:ナットのネジ山修正工具
- ダイス:ボルトのねじ山修正工具
メモ
※ヴォクシー純正のセカンドシート場合は、ボルト・ナットは「インチネジ”3/8”のねじピッチ””1.25mm”」です。
※安全上ネジサイズを変更するのはお勧めできません。
※ネジ変換アダプターを使用するのはお勧めできません(こちらは割れるので特にダメ)
まずはタッピングスプレー(切削油)を吹きます。
整形だけではどうにもならない位に舐めている場合は一回り大きくします。
至極簡単な作業ですので動画の方をご覧ください。
角度に注意しながら、体重をかけて180度回して90度力を抜いて戻す。
これをひたすら繰り返すだけです。
メキメキと音を立てながらねじ山を掘っていきます。
参照
※基本的にはどの車両も整備時に舐めた時の為に、シート側のネジ通し穴は大きく出来ていて一回り太いボルトまで入るようになっています。
舐めた時用に太くするのは頑丈になるので安全上構いません。
※つまり、タップでネジ山を新たに切って上げるのが一番簡単で一番安全です。
【ヴォクシー70/ノアのセカンドシートネジの例】
3/8インチネジナットで車体裏に3点付け溶接されているのでそれより一回り大きな穴にしてあげましょう。
純正ネジ3/8 → ミリ規格「M10」orインチ規格「7/16」or「1/2」
のタップでねじ切り作業をしてあげると頑丈になりガッチリ止まります。
重度[特殊]の場合:シートナットの外し方
上記のように既に、一回り大きくタップでねじ切りをしてサイズ変更して、これ以上大きく出来ないのに再び舐めて完全にねじがスカスカになったら車体についている溶接ナットを外してあげる必要があります。
下からマフラー外してパン外してと逆さ作業なので思ったより大変ですが、点留め溶接ですので外すことは出来ます。
手前(スライドドア側)横から見ると分かりやすいのでこちらで説明。
まずステップは爪で引っかかってるだけなので、引き抜きます。
下から見るとこう。
上からガンガンと叩いて溶接部を外してあげます。
ボルトを入れたり、舐めり具合次第ではドリルなどで溶接部を外します。
これをタガネとハンマーやバール等を使用して外してあげます。
これです。こんな感じで3点溶接付けされています。
重度[特殊]の場合:シートナットの取付方法
新たに交換取付する場合は:ナットリベッター編
そして新しいナットに交換してあげます。
※接着には”溶接”・”ロウ付け”・”接着剤”そして新兵器”ナットリベッター”等ありますが、ガソリンに引火して爆発を避ける為、今回のようにやむを得ない場合は金属接着剤とナットリベッターにしておきましょう。
※ナットリベッターを使用する場合作業は車体の上から作業が可能ですが、回転に弱いという弱点もあるので要注意。
ナットリベッターでの作業開始
使用するのは「ナットリベッター両手式」と「ブラインドナットM10のスチール材質」。
穴サイズのギリギリの大きさにします。
ヴォクシーの場合はミリ規格「M10」orインチ規格「7/16」or「1/2」(安全上純正サイズ以下は避けましょう)
私のはミリ対応の工具なのでM10ブラインドナットを使用します。
M10の場合は取り付ける穴サイズは「13.1mm」です。
穴を広げながら綺麗に整形していきます。
12.9mmか13.0mm辺りでギリギリにしてハンマーで押し込みます。
その前にこれ、2液式高強度金属接着剤。
A液とB液を同じ量出して混ぜます。
4~5分以内に硬化しだすのでそれまでに作業します。
しっかりとブラインドナットにの平頭と横と取付ける車体側にたっぷりと塗ります。
ギリギリにしてるので置いて。
ハンマーで軽く打ち込んで入れ込みます。
ナットリベッターでカシメます。
ハンドルを閉じてを2~3回繰り返します。
が、「M10以上」かつ「材質:スチールorステンレス」などは両手式でも相当な力が必要ですので単管パイプを使用します。(小さいサイズやアルミナットの場合は簡単にリベット可能です)
これで楽勝です。
これで完了ですが、最後に空回り防止用のネジを打ち込みます。
ネジ止め作業(ブラインドナットの切欠き作業):【重要】
注意ポイント
弱点として空回りです。
ナットリベッターは膨んでるので引っこ抜けませんが、回転に対しては外への膨らむ圧で固定されているので心もとないです。
次回外すときにナット側が回ると、ボルトと一緒に回って一生シートが外れなくなります。
これを避けるための作業として切り欠きを造り、ネジ止めします。
”タッピングスプレー(切削油)”を吹きます。
”2mm程度”のドリルで穴を開けます。
理想は”ブラインドナット平頭半分と車体半分”です。
平頭半分と車体半分で穴を開けた状態。
小金属ねじをねじ込んで完了です。
※この際、切削油をシリコンオフで拭き取る事・金属接着剤をドリル穴へ使用する事。
※この作業をしない場合、カシメ圧と接着粘力が無くなった場合、延々と空回りしてシートを取り外すことが出来なくなります。
奥側も同じ作業して、全箇所ネジ留め確認をして、
これで無事、車のシートのネジ山の復活です。
車の折り畳み跳ね上げシートの取付方
最後にしっかりと同じ事が起きないように、「丁寧に」シートを取付けて完了。
折り畳みシートの場合の取付方です。
セカンドシートのボルトネジなめ修理に必要な工具等
通常の場合:タップねじ切り作業
軽度の場合はネジ山修正で対応するのが一番手っ取り早いしこれが基本です。
使用するのはタップ。
ヴォクシーの場合は”3/8インチネジ”なのでギリギリのそれ以上のタップで少し広げて上げながらねじ切り作業すれば完了です。
●タップ&ダイスセット
今回はタップの方を使用。
これがあると自分なりの便利な加工の幅がぐんっと広がります。
今回加工の為ですが、ボルトが折れた時、舐めった時の修正などでも活躍します。
ひろしぱぱは安物使用してますがもう何度助けられたことでしょう。
このブログでも過去記事でナット潰したりしたとき出てきてます。
●切削油
ドリル時に使用します。
刃の消耗補助だけではなく、食いこみが良く焼き付き防止冷却もしますので、しっかりドリルが効くようになります。
ひろしぱぱ使用はこれ!たぶん一生もつかと(笑)
※めったに使わないので小さければ小さいほど良いor酸化防止の為ガス系にしましょう。
重度の場合:ナットリベッター打込み作業
交換が必要です。
車体側ナットの点溶接を外して付け変えます。
取付の際は溶接が使えない為、2液式の金属接着材とナットリベッターを使用します。
●金属接着剤|嫌気性接着剤
溶接出来ない場所に使用するメタルロックの高強度タイプです。
混ぜてから硬化開始なので保管に長持ちするのも便利な特徴です。
●ナットリベッター
「車体下へもぐり込まない場合」は、車体上からナットリベッター。
使用するナット素材は”スチール”。
振動負荷があるのでステンレスよりスチールの方が良いです。
- ステンレス:スチールより固く頑丈で粉砕限界点が高い。
限界点は高いが越すとすぐ折れる。 - スチール:加工しやすく限界点を迎えると折れる前に曲がる。
私のはこれ。多くの会社がOEMしてる両手式のこのタイプ。
めちゃくちゃおすすめです。
片側式よりも強く大きいサイズも対応できます。
ハンドルに単管パイプを入れて延長するとM10~の大きい力の必要なリベットも簡単。
●ブラインドナット
エビナット・クリンプナットなど有名ですが総称してブラインドナット。
今回は安心のトラスコのクリンプナットを使用。平頭のDタイプ。
※注意:Dタイプ(広頭)やKタイプ(狭頭)があるので注意。
車のセカンドシートのボルトネジ舐めの修理作業動画
交換を含め、加工箇所は3か所してみました。
良い感じです。
特に、車検時だけ通す場合は今回のやり方は良いですね。
基本的にはタップねじ切りが基本ですので誤解無く「安全第一」です。