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前回の続きでジャイロX(TD02)腰下クランク割の割り方・クランクシャフト・ピストンの部品洗浄・点検・交換方法となります。
※このバイクはピストン交換するだけでもこの作業が必要となります。
ジャイロX腰下エンジンOH
- 腰下エンジンOH①前準備|各装備外し
- 腰下エンジンOH②点検・部品洗浄交換「※今回」
- 腰下エンジンOH③組立て方法
まず不要なものを外しておきます。
腰下となりますので、心配な方は動画の方も参照ください。
まずは外せるものを外しておく
フライホイール側
オイルポンプのドリブンギア・カムチェーンガイド(上下)・カムチェーンを外す。
プーリー側
クラッチ・ベルト・プーリー一式を外す。
シリンダーと左クランク(駆動系)を切り離す
駆動系側(左クランクの)以下3つのボルトを外します。
切り離します。シリンダーは写真左側です。
シリンダーを前(シリンダーヘッド側)と後(後方側)に割る
まずは「88mmラバーシール」を外します。
シリンダーヘッドを下(地面側)にします。
ヘッド面が傷つかないようにウェスなどを敷いておきましょう。
真上から見てみます。
10mmで9つのボルトを外します。
プラハンで軽くコンコンを均等に打ち込んでいってゆっくり外します。
これでシリンダーが2つに割れます。
クランクシャフトを引っこ抜きます。
クランクシャフトから「サークリップ・ピストンピン・ピストン」を外して並べます。
これでジャイロX(TD02)のクランク割り・および部品バラシが完了です。
シリンダークランクを含めて部品を洗浄点検していきます。
ピストンリングは再利用する人は外します。
※このバイクはピストン交換が通常より時間かかりますので出来れば交換です。
シリンダークランクケース前・後・クランクシャフトの洗浄
ケースは2つに割れてますのでどちらも綺麗にします。
オイルポンプ・オイルストレーナー・パージソレノイドAssayも外して洗浄します。
ただただパーツクリーナーで洗うだけですが注意点は2つ。
※ゴムシール系にはパーツクリーナーをつけない事・使用して良いブラシはナイロン系のみ(歯ブラシ等)です。
上記に注意して全てパーツクリーナーで洗浄して、シリンダークランクケースの合わせ面の液状ガスケットの残りも全て綺麗にします。
シリンダーは紙ガスケットではないのでポロポロとケース内にもあるはずです。
全て綺麗にして完了。
シリンダークランクケース前・後・クランクシャフトの点検方法
各部品を点検して、どれを再利用してどれを交換注文するかを分けていきます。
シリンダークランクケース後側点検
シクネスゲージとストレートエッジを用意します。
※最低3か所以上接地させる事。
シリンダークランクケース前側点検
特に大事なシリンダーヘッド面です。
※クランクケースの歪みの使用限度:0.05mmです。
クランクシャフト
以下のどれか一項目でも当てはまればクランクシャフトは交換となります。
ジャイロX(TD02)は、各ベアリングごと交換などできないタイプなのでクランクシャフト一式交換となります。
①コンロッド横ブレ点検
シクネスゲージの0.6mmを用意してコンロッド付け根の隙間を測る。
使用限度:0.6mm
これでコンロッドの横ブレを点検して、シクネスゲージが入る場合は要交換です。
②コンロッド小端部(頭)内径点検
ピストンピンが入る穴の内径です。
摩耗使用限度:10.05mm
③ベアリング点検
ベアリング点検は、手で勢いよく回して音で確認します。
この異音は覚えるしかありません。【※動画参照】
手で回してわずかな音でもエンジン高速回転だとかなりの音になりますので、手で回した時点で異音があるなら要交換となります。
④シャフト曲がりの点検
シャフトの棒部分ではなく、ベアリングを支点においてその隙間を4ヶ所測ります。
曲がっている場合はどれかにシクネスゲージが入ります。
シャフト曲がり使用限度:0.10mm
⑤コンロッド垂直(縦)ブレの点検
縦ブレには専用工具が必要ですのでDIYレベルでは省略します。
縦ブレの使用限度は0.05mm。
ピストン(本体・リング・ピン・サークリップ)
ピストン点検
- 「内径」摩耗使用限度:10.04mm
ピストンピンの入る穴の内径です。 - 「外径」摩耗使用限度:37.92mm
スカートからスカートまでの外径です。
ピストンピン点検
摩耗使用限度:9.98mmです。
サークリップは交換して、これで点検も完了です。
交換する部品と再利用する部品を分けて注文しておきます。
【ジャイロX】TD02腰下エンジンオーバーホールに必要な部品・工具類
この項目は特殊工具は必要ありません。
前準備から含めるとあまりにも工程数が多いのでシリンダー内はかならず純正品で交換しておくと安心です。
今回は楽天で全て購入できたので助かりました。
部品類:
●クランクシャフト
純正番号:13000-GFZ-000➡13000-GFZ-010
※メーカー(HONDA)より正式に純正番号が変更となりました。(TA03キャノピー用と共通)
●ピストン一式
ピストンは再利用可否に関しては少し経験が必要です。
ピストン本体
純正番号:13101-GEV-760
ピストンピン
純正番号:13111-GET-000
ピストンリング
純正番号:13010-GET-305
サークリップ
純正番号:13115-147-000
●クランクシャフト(L)オイルシール
純正番号:91202-GEE-003
クランクを開けた時は交換必至条件のシールです。
●88mmラバーシール
純正番号:11309-GEE-000
駆動系左クランクとシリンダークランクを繋ぐラバーシールです。
●セッティングリング
純正番号:90601-MA6-000
クランクケースにクランクベアリングを固定するためのリングです。
工具類:
●シクネスゲージ
これ量が多すぎて要らないのが多いですが欲しいサイズが1枚足りない時などがありますので注意。なるべく25枚以上ついているタイプにしといたが吉です。
●ストレートエッジ
めったに使用しませんが一度購入したら普通に一生使えますので、安いので良いですが頑丈なやつで。
【ジャイロX】TD02腰下エンジンオーバーホール作業動画
今回は点検した結果、「クランクシャフト・クランクシャフトオイルシール・ピストン・ピストンピン・ピストンリング・サークリップ・88mmラバーシール・ベアリングセッティングリング56mm」を交換する事となりました。
今回の作業内容動画です。