ページコンテンツ
腰上エンジン内のオーバーホール作業に入っていきます。
今回の作業はバラシ後のピストンの交換方法もしくは清掃方法です。
組んだままの写真でいうと、ここです。
前回の続きです。
トゥデイAF67腰上エンジンOH
- エンジン腰上オーバーホール①|腰上エンジンバラシ
一気にばらす。
[エンジンヘッド→シリンダーヘッド→シリンダー(ピストンまで)] - エンジン腰上オーバーホール②|各部位メンテ(奥から順に)
【A】[ピストン清掃/交換/装着]※今回はココ
【B】[シリンダーガスケット交換]・[シリンダー清掃/交換]・[シリンダーヘッドガスケット交換]
【C】[エンジンバルブカーボン清掃/交換/擦り合わせ作業]・[バルブステムシール交換]
【D】[カムシャフトホルダー・ロッカーアーム清掃/交換/装着]・タペットクリアランス調整 - エンジン腰上オーバーホール③|[まとめ]:
※部位整備して組み立てながらなので文字にすると多少前後しますが基本です。
まずはピストンのチェック
短期間でチェックの為にシリンダー開けたり、大したダメージも無い場合は再利用することも確かに有ります。
その場合は”清掃”のみとなりますが、基本は熱膨張で金属疲労はしているので交換する事をおすすめします。
交換必須は”傷”の場合です。度合いにもよりますが基本的に”焼け”は再利用できますが”傷”はアウトです。
以下は別日のYAMAHAギアさんの例ですがこれはアウト。シリンダーもアウト。
ペーパーかけてもやせ細ってしまうほどの深い傷は、あがくよりも交換です。
ここまで酷い場合はシリンダーの見直しも必要です。
ピストンの交換作業方法
ピストンの外し方は前回完了しています。
ピストンを交換してコンロッドへ装着する場合には、まずはピストンにピストンリングをハメないといけません。
その前に慣らし作業をしておくと作業が楽です。(絶対に必要ではありません)
ピストンのアタリのペーパー掛け|慣らし
※当然リングを入れる前が良いですね。
純正の場合、まして50ccの場合は基本的にはたいして必要ありませんが、社外品使う人は精度悪い場合多少神経質になります。
ピストンの熱膨張は激しいものでスカートが広がるとガリガリとシリンダーへ傷をつけていきます。
その部分を前もって人の手で慣らしておいてあげようというものです。
特にピストンで熱膨張しやすい4か所、シリンダーとの角抜け穴との当たり所。
そしてここ。「スカート部分・サークリップ穴・(トップ面外周)」ですが、トップ面外周は別にしなくて良いです。
4stオイルを塗って。
#800番~#1500番辺りで、オイルを付けたまま"耐水サンドペーパー"で5分程度シャコシャコしてあげます。#1000番を使用しました。
結構角がまるくなったの分かるでしょうか。
これで完了です。
【重要】ピストンリングの装着方法|順番・角度・裏表
トップリング・セカンドリング・オイルリング(3枚)
”ピストンへピストンリングを装着”していきますが、4stバイクはオイルリングというのがありますので、2枚ではなくほとんどが5枚だと思います。(3枚のも有り)
※トップリング・セカンドリング・裏/表/角度/向き/などあるので最後に調整しますが、並べると以下のようになります。
リング溝周辺に4stオイルを塗って装着しやすい状態にします。(しなくても良い)
まずは一番下のオイルリングからです。
オイルリングは「サイドレール・スペーサー・サイドレール」3枚で1つのサード溝に入れます。
トゥデイの場合はサイドレールはアッパー(上)・ロアー(下)共に同じです。
まずはサイドレール(下)を入れる。
次にオイルリングスペーサーを入れる。
サイドレール(上)を入れる。
これで三番目の溝が完了です。
次にセカンドリングを装着。
※刻印が上(トップ側)です。
注意ポイント
※無理にするとすぐに折れますので、必ず一度トップの溝へ全て入れてからセカンド溝へ移ります。
最後にトップリングを装着。
溝全てにオイルを満たして、リングを回転させて馴染ませて
これで”ピストンへピストンリングの装着”が完了です。
ピストンリングについて|より詳しく
ピストンリングの向き・角度・位置について
リングには圧縮・オイル循環性能を最大限に引き出すための向きがあります。
装着前に上から順に並べてみると分かりやすいかもしれませんね。
実際に並べてみました。
※ピストンを吸気側を上にした時、トップから下へ図のような角度で切り欠きをもってきます。
※上から順に並べていますが装着は下から順番です。
トップリングとセカンドリングについて
純正以外使用すると良く”刻印無し”のリングや激安品に手を出して”トップセカンド全く同じ”などに出くわします。粗悪品も中にはあるため初めてを社外使用すると混乱したりします。
一般的迷った時の見極め方法として[例外多数有り]
- トップリングの特徴:
刻印が「R」・色がシルバー系orメッキ・角処理で丸っこい・ツルツルが多い・リング上側がくぼんでいる(トゥデイはこちら)。 - セカンドリングの特徴:
刻印が「RN」・色が黒系が多い・角未処理できっちり角・ザラザラが多い・リング上側がくぼんでいる(一般的にはこっちをよく見る)。
ですので一つの目安にはなるかと思います。
トップリングはプラグの火花爆発を直接受ける為にメッキ処理されてるのがほとんどですし、角が丸っこいのが多いです。
いっぽうセカンドはザラザラが多く角も処理されずキッチリ垂直が多いです。
※粗悪品の中にはどちらもトップまたはセカンドみたいなリングを入れてくる社外品もありますので、まれにある社外品の一か八かの時にでも参考にしてみて下さい(笑)^^;
※走るのは走りますが一気に寿命と性能本来の力を失います。
”コネクティングロッド(コンロッド)”へ装着する際のリングの向きですが、装着する際少しはズレます。
※どうなろうと走りますがパワーやスピードなどに変化は出るはずですのでなるべくの角度を意識する必要があります。(未検証)
ピストンをクランクシャフト(コネクティングロッド)へ装着
あとは外した時の逆手順で装着するだけです。
”コネクティングロッド(コンロッド)”へ装着しますが、トゥディは”コンロッドベアリング”がありません。
基本50ccは無いのがほとんどですが、ジャイロなどのこてこてのビジネスバイクの場合は50ccでもあります。
まずは片方だけはサークリップを入れておきます。
※(ピストンを吸気を上・排気を下にした時の左側)
コンロッドにピストンを被せて。※(吸気側当たり面が上・排気側が下)
”ピストンピン”を挿入して。
サークリップをしっかりハメる。
最後に”ピストンリングの向き”を整えて、AF67のピストン交換が完了です。
これでピストンの交換作業が完了しましたので、次はシリンダーの整備作業となります。
ピストンの清掃方法の場合|おまけ
交換ではなく”清掃再利用の場合”は基本どぶ付けがおすすめです。
下手にナイロン以外で磨きまくらないようにだけ注意する位です。
ピストン清掃の為にあるかのような最高に溶剤の無駄がない良いサイズです。
2日どぶ付けしてみましたがかなり綺麗になります。
ただ金属は見た目に騙されてもいけませんのであくまで短期間使用の人だけで、基本交換を。
エメマン・BOSSが丁度良いどぶ付けサイズ容器で出来ます。
おすすめはアルミ缶よりスチール缶の”BOSS”です。
トゥデイAF67のピストン交換・清掃で必要な工具
部品類:
●ピストン・ピストンピン・ピストンリング・サークリップ
- ピストン純正番号:13101-GFC-770
- ピストンピン純正番号:13111-GFC-900
- ピストンリング純正番号13011-GFC-770 AF67
- サークリップ純正番号:13115-147-000
●ピストン
力の源ピストンです。
●ピストンリング+オイルリング
ピストンを交換するタイミングでは必須です。
●ピストンピン
傷、疲労があからさまにでてこないため意外に再利用しますよね。
ピストンを交換する際は交換しましょう。
●サークリップ(ピストンピンクリップ)
トゥデイAF67は”10mm”です。
工具類:
●サンドペーパー(耐水)
大体バイクでは#400・#800・#1000・#1200・#1500辺りが良く使うと思います。
鏡ばりにピカピカにするわけじゃないので3000番とかは不要ですが意外にどこでも役に立つので一通り持っておくのが吉。もちろん塗装やDIYでは必須。
Funshare 紙やすり サンドペーパ 耐水ペーパーセット 36枚入り 12種類 (120 180 240 400 600 1500 800 1000...
●精密プライヤー
サークリップの付け外しの時に精密プライヤーがおすすめです。
良いのは一つあれば他は100均ので良いです。全っっっ然違いますよ。
一度掴んだら離さないのはネジザウルス系と同じです。
ホーザンのP-36のようにテンピンから短いタイプは精度が狂いにくく10年以上使えます。
●エンジンコンディショナー
今回は清掃の人のみですね。
ひろぱぱは全てのカーボン除去にはこの泡タイプでは最安値の呉工業エンジンコンディショナーを使用してます。仕上げの洗い流しは安物のパーツクリーナーでします。
【トゥデイAF67】腰上エンジンオーバーホール②-A|ピストンとピストンリングの清掃・交換方法作業動画
今回の作業動画です。
ピストン”交換”作業動画
ピストン”清掃”作業動画|おまけ