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ベンリィ50 [AA03]

【ベンリィ50】原付バイクの駆動系オーバーホールの方法

2021年11月12日


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今日はHONDAベンリィ50の駆動系オーバーホールです。

型式によるかもしれませんが、50[AA03]・110/PRO[JA09]全共通となりますが念のため部品番号にはお気を付けください。

その為今回作業する車両はベンリィ50で作業しております。

この修理が必要な時は、エンジンが元気なのにもたつく最高速到達までの時間が長すぎるクラッチ滑りベルト切れベルト滑り変速ガタツキ、クラッチが繋がり走ってる時だけ飛行機音のようなベアリング不良音等々まだありますが、これらの症状が出る場合はこちらの作業の必要性が高いです。

早速作業していきます。

 

駆動系オーバーホールの手順

左クランクケースカバーを開ける

①キックペダルを12mmで外す。

②六角穴付きボルトを3カ所外す。

③8mmで前側ミニカバーを外す。

④下からアクセルワイヤーをフックから外す。

⑤固着時はプラハンで叩いて外す。

 

プーリー・Vベルト・クラッチを外す

①特に順序はありませんが、プーリーを外してクラッチとベルトを一緒に外していきます。

②クラッチ側はユニバーサルホルダー固定で19mmで外す。

③ドライブプーリー側はギアホルダ等で固定して17mmで外す。

④部品を全て引っこ抜いて、ケース側の洗浄(ゴムシールにはラバープロテクタント)。

⑤各順番に並べておきます。

⑥これでバラシ完了です。

 

 

各駆動系部品の区分け

大きく分けて、「ドライブプーリー」・「Vベルト」・「クラッチプーリー」となりますので3項目に分けます。

ドライブプーリーの部品点検・洗浄・交換

外した順に部品は、「プーリーナット・ワッシャー・スターターラチェット・ドライブファン・プーリーボス・ムーバブルドライブ・ウェイトローラー・スライドピース・ランププレート」で構成されています。
全ての摩耗使用限度点検と洗浄または交換をします。

①パーツクリーナーで綺麗に洗浄します。

②ウェイトローラー外径使用限度:15.4mm。

③プーリーボス外径使用限度:19.97mm。

④ムーバブルドライブ内径使用限度:20.17mm

⑤スライドピース破損・劣化確認。

 

 

Vベルトの部品点検・洗浄・交換

ベルトはそのまま目視で確認して、ひび割れ劣化・破損がないかと大事なのは幅ですので摩耗確認をします。

①破損ある場合は交換。

②ベルト幅摩耗使用限度:18mm

 

 

クラッチの部品点検・洗浄・交換

クラッチを構成している部品は、「ナット・ワッシャー・クラッチアウター・クラッチ(ASSY)・ドリブンフェーススプリング・シールカラー・各種Oリング・ムーバブルドリブンフェース・ドリブンフェース(中にニードルベアリング・ドリブンフェースベアリング)」です。

①クラッチ部品全て洗浄します。

②クラッチアウター摩耗使用限度:107.5mm。

③39mmでドリブンプーリーナットを外す。

④クラッチシューは摩耗してる場合はAssy交換。

⑤ドリブンフェーススプリング自由長使用限度:97.41mm。

 

殆どの人はここまでで作業完了で、メインはクラッチシューの交換です。

 

 

ドリブンプーリーのバラシ方|さらにクラッチドリブン分解

ここから先は、「ベアリング不良音」・「変速ががたつく」など症状の人は特に必要可能性が上がります。

メモ

ベアリング不良音の特徴として、クラッチが繋がって走ってる時だけ「飛行機音がする」とか「トンネル内走るような音」と表現されることが多いです。

ここで難しいのが、トランスミッション内ファイナルリダクションベアリングとの違いは音だけでは判断できません。

⑦ドリブンプーリー側をばらしていきます。

⑧シールカラーを抜き取る。

⑨ガイドピンを溝から抜き取る。

⑩引っこ抜いてドリブンフェースを割ります。

⑪ガイド溝の摩耗・広がり・段付き確認。

⑫まずはニードルベアリングを外す。

⑬ベアリングプーラー・プレス機等で抜き取る。[※動画参照]

⑭ニードルベアリングはローラーベアリングとなり、外すとスナップリングが奥に見えます。

⑮ドリブンフェース内のスナップリングを外す。

⑯最後にドリブンフェースベアリングを押し出す。

⑰こちらは片面シールのボールベアリングです。

⑱全バラシ完了、古いグリスの洗浄除去。

⑲Oリング、シール部はラバープロテクタント。

⑳ベアリングはグリス充填後に組立て。

 

グリスの充填量目安について:

※ドリブンフェース内周面7~8gを充填。

※ムーバブル側ガイド溝には1.5~2g充填。

あとはベアリングの向きに注意しながら元通りにするだけです。

これで全ての部品点検・洗浄・交換作業完了です。

摩耗しての使用限度越してるものは全て交換してオーバーホールとなります。

 

 

駆動系部品全組立て作業

※長くなりましたので、組立てに関しては動画を参照下さい。

規定締め付けトルク抜粋

クラッチナット締め付けトルク:54N・m

クラッチ側ナット締め付けトルク:49N・m

プーリー側ナット締め付けトルク:59N・m
※110CCの人は108N/m

 

これでHONDAベンリィ50の駆動系オーバーホールの完了です。(始動装置系・ファイナルリダクションは除く)

 

※念の為必ず確認しておいてください。

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HONDAベンリィ50の駆動系オーバーホールに必要な部品・工具等

今回使用した部品や工具たちです。

部品類:

●クラッチシューCOMP

純正番号:22100-GGM-900

 

●ドライブベルト

純正番号:23100-GGM-901

 

●ウェイトローラー|7.5g

純正番号:22123-GT8-600

 

工具類:

●ユニバーサルホルダー|汎用

当ブログも良く出てきますがこいつは駆動系から電装系・エンジン系までいたるところで活用します。
クラッチ側で必要です。

 

●クラッチセンターホルダー|爪タイプ

ホンダ車の場合は、プーリー側で必要です。

 

●トルクレンチ|足周り[30~180N・m]

実際に動画で使用しているものです。
駆動系部品や足回りには締め付けトルクは高めなので、エンジン用とは別に足回り用が必要になりますが一つで全て賄えるものは存在しませんのでDIY整備では、「エンジン等低トルク用」と「足回りなど高トルク用」の2つ必要です。

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●モリブデングリス

バイク用には基本、重圧や回転に強いモリブデングリスを多用しますので重宝します。
特にエンジン・足回りはこればかりです。

 

●ベアリングレースシールドライバー

シール交換やベアリング交換の必須品です。まず壊れる事はありませんが、一応何かあった時の為にアルミ製で負けるように出来てますので変形や破損したら交換して下さい。

 

●プレス機|ベアリング抜きおよび圧入

私がしょっちゅう使用するのがこれ。貫通しているケースの場合ほぼすべてのプーラーの代わりとなります。
もちろん押出しだけではなく、圧入にも使用します。

 

 

HONDAベンリィ50:駆動系オーバーホール全作業動画

今回の作業動画です。

 

一番部品消耗する場所ですので慣れてる人も多いと思います。
ひろし整備人
ひろし整備人

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