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今日はHONDAベンリィ50の修理です。
スロットルを回してアクセルを開けるととある程度高回転まで上がってからずるずるようやく進む(発進)という状況になったとの連絡です。
普通の状態よりも1秒近く遅れて発進するという事ですが、これってめちゃくちゃ危険で、特に二段階右折不要場所での交差点等で右折する時に最も危険な状況となります。
停車してから右折時にワンテンポ遅れますので、時速次第で1秒違えば車の距離は一気に近づきます。
この状態での発進不具合は超危険ですので即座に修理が必要です。
バイクの発進・出だしが悪い原因
原因は様々ですが、私の場合大まかにはエンジン側一式と駆動系側一式の2つポイントに分けます。
どちらかを判断して整備していくと作業が大きく簡単になります。
- エンジン側原因の場合:爆発劣化・燃料不足・燃料詰まり・エアフィルタ詰まり等々詰まり電装・燃料装置等のエンジン側。
・分かりやすい症状として息継ぎ感がある。
・この場合はキャブ・Fi・点火装置・エアルート・腰上エンジン内整備。 - 駆動系側が原因の場合:エンジン回転は元気・空回り感・加速度が弱い。動力不足や繋ぎ不具合等の駆動系側。
・分かりやすい症状として点火や回転上げはスムーズでも車体だけがうなって進まない。
・この場合は駆動系消耗品が主たる整備。
という事で上記の事から今回は明らかに駆動系側が悪いことがすぐに分かりましたので早速修理していきます。【※動画参照】
ベンリィ50の加速悪化修理方法|クラッチ滑りとは?
スクーターなどのAT無段階変速機で回転が上がるにつれ遠心力でクラッチがタイヤへ動力を伝える装置と、MT切替ギア機による自分でギアを噛ませて変速していく装置とでは修理方法は異なりますが、ベンリィ50は前者スクーターの方です。
駆動系側の場合は動力電動装置・変速装置などで物理的にクラッチを繋いでタイヤを回転させていきます。
その際はウェイトローラーという重りでベルトを押しながらどんどん加速させていく仕組みです。
そうするとクラッチが内側から外側に向かって遠心力で広がりクラッチアウターへシューを通してへばりつくように繋がります。
ドラムブレーキもそうですよね。(ブレーキケーブルでテコの原理で広げるか、クラッチのように遠心力で広げるかの違い)
クラッチアウターはシャフトでタイヤで動力を送る装置ですのでこのアウターとクラッチを遠心力で繋げる部分にシューがあります。
特に回転出だしでは必ず必要なのがクラッチシューなのでこれが無くなるとクラッチが滑ります。
言葉で聞くとややこしいですよね。
駆動系三大消耗部品豆知識
他にもVベルト消耗・ウェイトローラー消耗による軽量化等、似た症状が発生しますので定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
- ベルト滑りの場合
主に最高速に影響しやすいのと、内側のギザギザ部分が一か所でも取れると特にプーリ側のボスを通過する時に引っかかるようになりどんどん悪化していきます。さらに摩耗で細くなるとプーリー側の外まで到達できなくなりますので最高速がどんどん下がります。 - ウェイトローラー消耗の場合
こちらはベルトをプーリー外側まで押す為の重りで削れると段が付いてスムーズに外側へいかなくなるのと、何よりも削れでどんどん軽くなります。
軽くなると低速~高速へベルトを押す力が無くなりますので加速度が落ちていきます。(最高速へ行く時間がかかる)
ただし引き換えに高回転でクラッチへ繋がるため、出だしだけが良くなりますがさらに限度を超えて削れていくと、かなり吹かしてから進むようになりどんどん調子が悪くなります。
参考:ウェイトローラーの仕組みと原理>> - クラッチ滑りの場合|※今回のケース
出だしにずるっと空回りする感じが一番大きな特徴ですが、他にもウェイトローラー消耗と同じように吹かし感が多くなったり減速時にエンジンブレーキが利きにくくなる特徴もあります。
修理方法
消耗品を交換するだけです。
今回はこの修理をしましたので、その判断方法から修理方法までを動画アップロードしましたのでご覧ください。
ベンリィ50駆動系三大消耗品交換に必要な部品・工具類
今回の作業に必要な部品と工具等ですが回転部の為多少専門工具が必要です。
部品類は私はビジネス使用かつ複数台もってるのと交換頻度が高いので以下の社外品ですが好き好きお任せします。
部品類:
●クラッチシューCOMP
純正番号:22100-GGM-900
●ドライブベルト
純正番号:23100-GGM-901
CHRIS(クリス)国産 ドライブベルト Vベルト ホンダ ベンリー50 (AA03)形式(MW501WHC/2WHC) 対応純正品番:2...
●ウェイトローラー|7.5g
純正番号:22123-GT8-600
工具類:
●ユニバーサルホルダー|汎用
当ブログも良く出てきますがこいつは駆動系から電装系・エンジン系までいたるところで活用します。
※クラッチ側で必要です。
●クラッチセンターホルダー|爪タイプ
※ホンダ車の場合は、プーリー側で必要です。
●トルクレンチ|足周り[30~180N・m]
実際に動画で使用しているものです。
駆動系部品や足回りには締め付けトルクは高めなので、エンジン用とは別に足回り用が必要になりますが一つで全て賄えるものは存在しませんのでDIY整備では、「エンジン等低トルク用」と「足回りなど高トルク用」の2つ必要です。
【ベンリィ50】症状別トラブル修理:出だし発進ブオオオ~ンと吹かして進まない!!の修理動画
今回の作業動画です。