現状バイクには電気バイク以外、キックペダルが必ずついていますが整備目線的にこいつの教えてくれる不具合症状と役割についてです。
キックはセルを使わずにギアを通して人間の力でドライブフェースに噛ませてクランクを動かしエンジンをかけるだけではなく、腰下エンジンクランクを通して腰上エンジンのアームロッド、ピストンともつながっているので”エンジン不具合のチェック”なんかでも確認で整備時に使用されます。
つまり、キックペダルの”重さ”・”ペダルの戻り方”などでエンジンの不具合が大まかに判断できる材料になります。
キックペタル不具合の代表的例
- キックペタルが全く降りない
エンジン焼きつき(ピストンとシリンダーが固着)・ウォーターハンマー現象(シリンダー内オイル充満など) - キックペタルが降りるが異常に重たい
サビ・エンジン焼きつき気味・ペダルギアのグリス切れ - キックペダルがスカスカに降りる
圧縮漏れ(エンジン周り組み込み不具合等) - キック途中までは降りるがそれ以上降りない
ウォーターハンマー(オイル・冷却水など溜まっている)
他にはキックペダルは降りるが戻ってこない等々あります。
キック一つでエンジン系の色々な症状が分かる目安判断となります。
※焼きつきまでいくと、腰上エンジン修理は簡単ですが腰下クランクアームまでとなるとエンジン載せ替えの方が安く済む事が多くなるのでオイル点検だけはとにかく”絶対的に重要”です。
バイクのキックペダル不具合修理方法
パターンによって異なりますが、共通することが1つあります。
まずはクランクケースカバーのキックペダルギアのグリスアップを必ず行う事で、シンプルなグリス切れをトラブル症状から外す事ができます。
※つまりグリスアップしてるのに違和感、不具合がある場合はエンジン異常の可能性が濃厚です。
これを判断するために必ずまずはキックペダルカバーのグリスアップ作業をします。
もちろん車種によって異なりますが大体は共通です。
バイクの駆動系クランクケースカバーを開ける
クランクケースを開ける。
キックペダルカバーのギア部全てにグリスアップ。
重要なキックドリブンギアー
特に”キックドリブンギアー”は一番大事で極論はこれにだけでも良いのでグリスアップをします。
この作業が大事です。
メモ
これでも症状が直らない場合は他に原因がありという判断材料になります。
他はプラグを外してキックなど一つづつ原因を潰していきます。
基本他の症状としては、腰上エンジンor腰下エンジンに原因があるため、なかなかの大作業修理となる事が多いです。
その判断の一つの原因を潰せるため、キックギア部のグリスアップでの確認作業は大切です。
と、こんな感じでキックから分かる事はエンジンと連動しているシリンダー・左右クランク・ただのグリス切れ・など大まかな判断と修理場所を絞っていくことが可能になります。
余りにも状態がひどい場合にはオーバーホールも必要ですが、バイクによりやり方は異なるのと強力なスプリングがあるので指には重々注意が必要です。
キックペダルが折れる?
基本的には折れるわけがありません。
が、多いですよねキックペダルが折れる症状の人って。
グリスアップ整備を怠ったり、組み方を間違えたり、エンジン不調なのに無理矢理キックで回してたりすると、金属疲労が蓄積されて折れるパターンです。
もう一つは何らかのオイルや冷却水などの液体が詰まった状態(ウォーターハンマー現象)になっているのにキックを無理矢理しているなど。
ドライブベルトが切れて絡まっている時に無理やり回したりしてもダメです。
普段からたまにキックも使用して正常時の重さ圧を体に覚えさせておくと異変にも気づいやすいです。
そしてたまには点検・チェック・整備をしてあげましょう。
バイクのキックペダル不具合作業で必要なもの
工具類:
●モリブデングリス
バイク用には基本、重圧や回転に強いモリブデングリスを多用しますので重宝します。
特にエンジン・足回りはこればかりです。