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今回は水冷バイクの鉄壁の要、”サーモスタット”の役割と重要性と故障診断方法です。
水冷車限定の話です。
基本的に確認方法などは、大小関わらず全車水冷バイク共通です。
サーモスタットは超大事で、これが死んでいるとエンジンがオーバーヒートして焼き付きます。
熱に反応して弁が開閉しますので、閉じたまま壊れていたらオーバーヒートしますし、開いたまま壊れていたら冷却水がエンジンが暖まってないので循環しつづけてオーバークールになります。
サーモスタット故障で起きる症状
基本的にはサーモスタットの弁が「閉じたまま」・「開いたまま」のどちらかで故障です。
- 「弁が閉じたたまま故障」
エンジン周りへ冷却水が循環されず行き場を無くし、エンジンがオーバーヒートします。そしてウォーターポンプが生きてるので逃げれるところへ無理やり押し込もうと働き他の部分のガスケット漏れなどを生じます。
症状:焼き付き・だきつき・異音、異臭・冷却水漏れ・ポンプ不具合・オイル燃焼等。 - 「弁が開いたまま故障」
暖気運転中でも冷却水が循環してしまいエンジンが暖まらずに、オーバークール現象が起きます。一向にエンジンが暖気出来ない状態になります。症状:「エンストしやすい・燃費悪化・黒煙・オイル劣化の誘発」です。車ならヒーターが効かなくなります。
二つを見ると閉じたまま壊れると焼き付きの原因になるのでたちが悪いです。
それでもエンジンオイルが循環してくれてるので二重で守られてるのですが、50cc程度だとオイルの方をしっかりしてれば焼き付きまでいく事はめったにありませんが、大排気量のバイクだとそうはいきませんね。
確実に焼き付きますので”超重要”箇所となります。
メモ
ちなみに全分解すれば解りますが「原理はキャブレター車のオートチョーク」と全く同じ原理です。
使われてる伸縮金属も同じものとなります。
※オーバーホールは一般整備では無いので動画に入れてます。
サーモスタットの故障診断方法
指定の方法|お湯と温度計を使用(サービスマニュアル)
ほぼ全車両共通サービスマニュアル通りの方法の場合です。
”鍋とコンロ”が必要です。
※湯沸かし器で沸かしたお湯などは注いで落ちるときに70℃くらいまで下がりキープできないのでダメです。
お湯の場合、ゴムシールをつけたまま確認します。
ゴムシールの部分に針金などを引っ掛けて吊るします。
(見やすいようにしてますが透明ガラスを鍋と思ってください。)
下からコンロでお湯を沸騰させていきます。
※サーモスタット先端の温度計部分を接触させない事
70℃程度から弁が開いてきます。
100℃まで沸騰させて5分開いたままでいれば正常です。
水に浸しますが冷却水自体、軟水込みなので全く問題ありません。
ひろしバイクの方法|ヒートガンを使用
圧倒的に早く簡単に確認が可能です。
ヒートガンを使用する場合は必ずゴムシールを外しておきます。
サークリップに引っ掛けておいて。(コンクリートの地面でも構いません。)
30秒。半開(70℃辺りから開き出せば正常です)
100℃で全開になれば正常です。
やり方はどちらでも構いませんが、壊れている場合は要交換です。
サーモスタットオーバーホール|[※動画参照]
一般整備ではないので動画参照ですが、これをすると中の温度計特殊グリスが漏れてたりする痕跡などが分かります。
リフト量も正確に測れます。
サーモスタット取付時の注意点|故障診断作業した場合
※正常だった場合で再利用する時は、必ず弁が閉じるのを確認してからの取付です。
車体へ取り付ける時は”ゴムシールを冷却水に浸してから”取付けです。
これはサーモスタットの弁まで浸しても全然構いません。
これで再利用をするor交換の判断ができます。
水冷バイクのサーモスタットの故障診断で使用する部品・工具等
ヒートガンがあれば一発診断できます。
●ヒートガン(ホットエアガン)
今回はサーモスタットの故障診断で使用。
前回はシートのシワ伸ばしや塗装剥ぎで使用しましたが、スプレー温缶にしたり、舐めたボルト急熱で膨らまして冷やして外したりなどしょっちゅう出番あります。
●冷却水|LLC直タイプ
純正指定は希釈型ですが、直接入れるタイプの方が楽で規定量入れて終わり。
高価なもの入れての満足よりも大事なのは安物でも定期的に交換してあげる事の方が圧倒的に大事なのはエンジンオイルもある意味共通です。
使い分けてますが最近こっちが多いです。
水冷バイクのサーモスタットの故障診断作業動画
実際の故障診断方法です。
分かりやすいようにバラバラに分解した状態もあります。