ヤマハギア [UA06J]

【YAMAHAギア】腰下エンジン組立て方法と手順

2021年10月12日

今日は4stヤマハギアの腰下エンジンの組立て作業をします。

4stであればJOG,ビーノも部品番号違えどやり方はほぼ共通です。

前回がバラシ作業をしましたのでこちらをご参照下さい。
必ず先に:前回▶【YAMAHAギア】腰下エンジンクランク割り・バラシ方>>こちら

今回はばらした後の組み立て方となります。

全く同じ逆手順ではありませんのでご注意下さい。

早速作業開始です。

 

腰下エンジンの組立て手順

割ったエンジンクランクを3つに分けて組んでいきます。

①左クランクケース内側→②右クランクケース内側→③左右クランク合わせ→④右クランクケース外側+他部品

で、あとはカバーして各種ボルト留めやACジェネレーター等の部位を付けてフライホイールまで付ければエンジン腰下組立て完了となりますので順番に作業していきます。

 

①左クランクケース内側

※注意:バラシの時最後に外した左クランクシャフトオイルシールは組立てでも最後になります。
(理由:普通バラシで最後なら組立てでは最初じゃんと思うかもしれませんが、作業中にカムチェーンがクランクシャフトから外れた時ここから再度取り付け可能にしておく為です)

 

①チェーンガイドを固定。

②前方からカムチェーンを通す。

 

③クランクシャフトを通す。

④ベアリング・ギア部にオイル塗布。

 

⑤オイルシール穴を覗きながらチェーンをクランクシャフトギアに通す。

⑥ギアにかかった後はチェーンは引っ張ったまま固定する。

 

⑦左クランクベアリングを最後まで打ち込む。

注意点:直接端をたたかない事。(当て木等必須)

 

この状態で左クランクケース側完了です。

 

 

②右クランクケース内側

右側の内側のメインはクランクベアリング打ち込みとカバー装着だけです。

 

①ベアリング内外にオイル塗布。

②地面と平行に木材等で高さ調整する。

 

③レースシールドライバーは必須です。

 

④斜めにならないようハンマーで打ち込む。

 

⑤右クランクベアリングカバー挿入。

⑥最後に外側からロックナット2つ締めて完了。

 

これで右クランク内側完了ですので、左右クランクともに完了となります。

 

 

③左・右クランク合わせ

内側の部品装着が完了したので、ここから左右クランクを接合していきます。

①まずは合わせ面の油分を除去。

②液状ガスケットを隙間なく塗布。

 

③ガスケット抜けが無いかしっかり確認。

④ノックピンが2つある事を必ず確認。

 

⑤バラシ時同様2本平行に押し込んでいく。

⑥上にバイス・下にプラハンで同時圧入で良い感じ。

 

⑦シャフト(カラー)がなかなか固い場合、向きを変えてプレスすると楽に合わさります。

⑧プレス機があれば難なく左右のクランク合わせが可能でスムーズです。

 

⑨全確認して完了、ガスケットはみ出してOK。

⑩まず、内側2点のクランクボルトを締める。

 

⑪次に外側4点のクランクボルトを締める。

⑫あとは6点のクランクボルトを均等本締め。

これで一旦クランク合わせ完了です。

 

 

④右クランク外側+他部品

ここまで来ればあとはもう部品装着していくだけです。
ヤマハ車は右クランク外側にスターターシステムがあるためここの部品が多いですが、バラシの時きちんとトレーに入れて並べておけば何てことないです。

ポイント

まずはクランクシャフトに部品を付けず、両サイドの「オイルポンプ」・「セルシャフト/ギア」を先にする事です。

 

①オイルポンプを(+)ドライバーで装着。

②セルギア/シャフトを挿入。

 

上記2点が完了後ずらっと装着していきます。

 

③オイルポンプと噛み合うギアを挿入。(天地向き注意)

④スタータークラッチを挿入。(天地向き注意)

 

⑤スターターカラーを挿入。(オイル塗布)

⑥ローラーベアリング挿入。(オイル塗布)

 

⑦スターターホイールを挿入。(天地向き注意)

⑧ワッシャーを挿入。

 

⑨薄型逆ねじナットを装着。(※逆ネジ仕様の為、反時計回りが締まる)

⑩最後にユニバーサルホルダーで固定して、トルクレンチで締める。

 

⑪ノックピン2つを確認。

⑫ガスケットを交換。

 

⑬右クランクケースカバーを装着。

⑭カバー挿入後にウッドラフキー打ち込み。

 

⑮ボルトの長さに注意して挿入。

⑯残りも挿入して規定トルクで締める。

 

⑰ステータコイルを六角穴レンチで装着。

⑱ステーホルダーを留める。

 

⑲パルスジェネレーターを装着。

⑳ウッドラフキーを合わせフライホイールを挿入。

 

㉑ワッシャー挿入。

㉒フライホイールを固定して17mmで締める。

 

㉓ファン装着。

㉔上部シャフトのスナップリングを溝へ入れる。

 

㉕上からセルモーターを六角穴レンチで装着。

㉖最後に左クランクケース側からオイルシール圧入。

参考

※左クランクケース側オイルシールを最後にするのは、作業途中カムチェーンが外れた場合この穴からフックなどで作業して引っ掛けて目視しながら戻せるためです。

 

これでヤマハギア(UA06J)腰下エンジンクランク組立て完了です。

 

あとはここから「圧縮上死点」をつくって腰上組んでいくなり、駆動系組んでいくなりすれば全ての作業も完了となります。
ある意味一番大変な作業ですので、時間もかかりますが凡ミスなど有るとまたクランク割りまで最初からとなるので確認怠らないようにそもそも時間かけるべき場所であり、途中コーヒタイム作ったりしながら丁寧にゆっくり作業して下さい。

 

 

ヤマハギアの腰下エンジンクランク組立てに必要な部品・工具類

主な消耗品です。

部品類:

●Lクランクオイルシール【※要交換

純正番号:93102-19804

 

●Rクランクオイルシール【※要交換

純正番号:93102-17807

 

●右クランクケースカバーガスケット【※要交換

純正番号:5ST-E5453-10

 

●クランクシャフトASSY(+Lクランクベアリング)【悪ければ交換】

純正番号:10B-E1400-00

 

●Rクランクベアリング【悪ければ交換】

純正番号:93306-205XP

 

●オイルポンプ【悪ければ交換】

純正番号:5ST-E3300-00

 

●スタータークラッチ【悪ければ交換】

純正番号:5ST-E5570-10

 

上記が主たる消耗所だと思います。

 

 

工具類:

●液状ガスケット|スリーボンド1207B

HONDA純正指定で多い1207Bですが、YAMAHAはご自分でお調べください。私はこれですが当然代用可能でトランスミッションクランクやその他漏れ防止等にも使用可能。

 

●ユニバーサルホルダー|汎用

当ブログも良く出てきますがこいつは駆動系から電装系・エンジン系までいたるところで活用します。
今回の作業では3か所で必要です。

 

●スナップリングプライヤー|※握ると開くタイプ

車屋さんも使用する高精度テーパードスナップリングプライヤーです。
今回必要なのは開くタイプの方です。(お間違え無くですが閉じるタイプも必要ですけどね。)

 

●KTC-SPC5|スナップリングプライヤ先端クローセット

先のアタッチメントが細タイプから太タイプからベンダータイプまで揃っていて本体とこれをもっていれば何でも対応可能。
KTC製ですがフジ矢スナップリングプライヤー対応。

 

●ベアリングレースシールドライバー

シール交換やベアリング交換の必須品です。まず壊れる事はありませんが、一応何かあった時の為にアルミ製で負けるように出来てますので変形や破損したら交換して下さい。

 

●プレス機|ベアリング抜きおよび圧入

私がしょっちゅう使用するのがこれ。貫通しているケースの場合ほぼすべてのプーラーの代わりとなります。
もちろん押出しだけではなく、圧入にも使用します。

 

 

ヤマハギア:腰下エンジンクランク組立て手順動画

今回の作業動画となります。
私のは部品取り車ですので、必ず各種ガスケット・オイルシールは新品交換して作業して下さい。

 

今回は②組み方編でしたが、前回は①バラシ方編です。

 

これで腰下新品にすれば向こう10年はまた復活ですね^^
ひろし整備人

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