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トゥデイAF61で長い事乗っているとカチカチカチカチ(カタカタカタカタ)と音がすることがあります。
カチカチ音の原因は色々ありますが耳を凝らして追究していきます。
クランクケースなのか、エンジン付近なのか、フロントタイヤ付近なのか、フレームに振動でなにか当たっているだけか、など色々ありますが、基本的に4stバイクなのでいつかはタペットが緩んできます。
なので、その都度タペットを調整してあげる必要が有ります。
そのままにしておくと金属疲労で痛むのもありますが、うるさいだけではなく「バルブ開きによるカーボン噛み、圧縮漏れ、エンジン不調、トルク、パワー不足」となりやがて始動できなくなります。
バイクによってクリアランス(隙間の幅)は異なりますので注意が必要です。
簡単な作業なので誰でも出来ます★
トゥデイAF61のタペットクリアランスの調整方法
フレームとエンジンは切り離す必要ありません。簡単にできます。ただ腰やられます(笑)。
今回はバルブカーボン除去をしたので切り離してますが、作業しやすいかしにくいかだけで、どちらでも可能です。
タペットの仕組み
仕組みとしてはカムチェーンとカムスプロケット(ギア)から動力を受け、楕円形のカムが回ります。
回転する度にカムの楕円形の山(コマ)がロッカーアームを押すと、餅つきのように吸気と排気のバルブを交互に押し下げます。
その押し下げられているバルブの口が開くという仕組みです。
この図は分かりやすかった為、バルブが4つありますがトゥデイAF61原付は2つです。↓
タペットクリアランスのが適正からずれているとどうなる?
バルブクリアランスが狭すぎる場合:
金属は熱膨張をするのでその分のスキマを開けておく必要があるという原理です。
熱膨張でクリアランスがなくなり、始動直後の圧縮漏れになります。
タペットクリアランスが無くピッタリ引っ付いていると熱で膨張して長くなった分、バルブが押し出されます。隙間に余裕が無いのでずっとバルブが戻りきらず開いたままになります。
開いたままということは、圧縮逃げでエンジンがかからなくなったり、パワーがガクンと落ちます。
※とくに狭すぎる場合は注意が必要ですのでこちらを参照ください。
エンジン始動直後だけエンストする人なんかは参考になります。
チェック:暖気運転の重要性
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バルブクリアランスが広すぎる場合:
ロッカーアーム部とのカチカチ音が大きくなり、極端に大きすぎると、バルブタイミングが遅れたり、リフト量が少なくなりパワー不足になります。
楕円形のカムが当たる度にスキマ分の打撃衝撃が発生します。その結果カチカチカチカチとうるさいタペット音が発生します。これは経年によりネジが緩んでくる事も関係あります。
かつ、カムの楕円形の山(コマ)部分が押す範囲が小さくなるのでバルブをしっかり押し出せなくなります。
よって、パワー不足が生じます。
結果どちらに転んでもダメですね。なのでこれを調整する事がタペットクリアランス調整です。
トゥデイAF61のタペットクリアランス調整開始
まずはブラグ横のフライホイールorクランクケース内のプーリーを回して圧縮上死点の状態にします。
※絶対ではなくエンジンを触る時の基礎のため癖付けです。(燃焼時にピストンが一番出ている状態)
チェック:圧縮上死点
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リコール前と後の数字が違いハッキリせず、お問い合わせのてるさんがHONDAに聞いてくださいました。
私はバイク屋さんに聞いたのは:
IN:吸気(上)側0.16mm「+-0.02mm」
EX:排気(下)側0.24mm「+-0.02mm」
ですが実際HONDAの数字と異なりました。
トゥデイAF61のタペットクリアランス正数値
トゥデイAF61のタペットクリアランス正数値
- IN:吸気(上)側0.16mm「+-0.03mm」
- EX:排気(下)側0.16mm「+-0.03mm」
引用:2019年10月06日Hondaお客様相談センター
※実際にてるさんが聞いて下さいました。
※サービスマニュアルはIN・EXともに0.14mmだそうですが0.16mmが正です。
タペット音がし過ぎるという事はクリアランスが広いはずなので最初は数値を見てみます。
IN吸気側は0.16mmでズレ無しOKでした。
そしてEX排気側はなんと0.30がユルユル。ガバガバの女の子バリに緩んでました。それ以上は測りませんが多分0.35mmあります(T0T)
ま~それでも走るところがこの原付の適当で凄い所チャイナ(笑)。
※よってカチカチ音の原因は、EX排気側のタペットクリアランス調整不良による音と判明します。
判明すれば直せば良いだけです。
シリンダーヘッドを開けます。
※再度:フレームとエンジンは切り離さなくても出来ます。
開かない場合はゴムプラハンマーでコンコンと丁寧に叩いて。
パカッ。
シックスネスゲージを使用してクリアランスを測り、専用スクリューねじ込みと固定をします。
トゥデイAF61のIN吸気側のタペット調整(上側)
ロッカーアームのロックナットをメガネレンチで緩めます。
IN側は0.16mm(+-0.03mm)。なので0.15mmでもOKです。
スクリューを締めながらゲージを入れて動かしている時の感覚で調整します。
言われているのは、抜き差しして動かしてるときの感覚が羊かんを切るヌルっとした感覚で調整です。ナンジャソリャ。
ねじ込みの位置が決まったらメガネをかけてロックナットを締め込みます。
この時、左手のスクリューはグッと固定して、メガネレンチのロックナットだけを締め込みますよ。
締めた状態でも確認。
多少の誤差はお手の物トゥデイAF61の場合(笑)。
理由はもともとズレてます。アームも横へグラグラなります。タペット部分(ゲージを入れる部分)も水平ではない。さすがっちゃい!ナ^^;
面倒なのとIN側には不具合なかったので0.15mmにしました。
トゥデイAF61のEX排気側のタペット調整(下側)
同じです。にしても0.16mm予定ですが0.30mmが余裕でスコスコスコ~と入ります。
ヒドイ(笑)。0.35mmはあります。
これがカチカチカチタペット音の原因でした。
上と同じくロックナットをメガネレンチで緩めます。
EX側は0.16mm(+-0.03mm)。
0.10mmと0.06mmを重ねるか0.15mm一枚でもOKです。
ひろぱぱは0.15mmへクリアランス調整しました。
上と同じようにスクリューで位置を決めて左手で固定、右手でメガネレンチでロックナットを締める。
完成★
シリンダーヘッドを閉じてエンジンをかけてタペット音がしないか確認。
OKです♪
トゥデイAF61のタペットクリアランス調整で必要な工具
●シクネスゲージ
これ量が多すぎて要らないのが多いですが欲しいサイズが1枚足りない時などがありますので注意。なるべく25枚以上ついているタイプにしといたが吉です。
メモ
0.4mm以上のものはまず私の環境では使わないので別にしました(笑)。いつか役に立つかも。
●タペットアジャストレンチ
ひろぱぱのはアダプター付きですがメガネレンチでも構いません。タペットアジャストレンチがある事で簡単正確に調整が可能になります。