今日は朝から一人転倒事故しました。
若干雨が降っててまだ早朝暗くて、猫ちゃんが見えたので避けようと濡れたマンホールの上でブレーキしちゃったんですよね。
コンビニ前でこけてたあれ私です^^;。
20代とかだと運動神経良いのでまだ防げたかもしれませんが、40代とかなってくると反射神経・運動神経ともに落ちてきますので飛ばさない事が一番なのは解ってますが。
で、今回事故したのはABS無しのドラムブレーキ車であるベンリィ110なのですが、そもそもどう違うのでしょうか?
昨今大型バスの峠でのブレーキ故障事故なんかもありましたし怖いですよね。
車ではほとんどがリアがドラムブレーキで、フロントがディスクブレーキです。(最近は両ディスクが増えてきてるそうです)
見てみたいと思います。
バイクのドラムブレーキとディスクブレーキ
ドラムブレーキ|リンク式カム倍力装置
- 円筒形のドラムに取り付けられたブレーキシューを使用するブレーキシステム。
- ブレーキレバーを引くとブレーキシューがドラム内部に押し付けられ摩擦により車輪が停止する。
- 構造が単純で安価であるため、一般的に低価格な車両に採用されることが多い。
- 長時間の連続使用や高速でのブレーキングによってフェード現象により、ブレーキ力が低下する可能性がある。
昔のバイクまたは、主に小型車に多く採用されている方式で、最大の弱点は熱と見た目でシュー減りが分からない事。
現代車のように液圧(ブレーキフルード)で広げるタイプと、初期の車や原付のように中継を使いながらハンドル側レバーからワイヤーでカンチレバーを伝い中の長方形の部品を回してテコの原理でシューを開いて、金属ドラムの内周にへばり付いて制御するものがあります。
リンク方式ですので中継地点を増やせば滑車の原理でまだ強くは出来るはずですが、整備性も悪くなりどう考えても限界がある事が判ります。
ですが原付バイクに多いドラムブレーキは、制御力ではディスクブレーキに勝つことはできません。
ドラムブレーキに油圧がない事由
じゃあ油圧にすれば仕組みは違えど同等レベルの制御性になるはずなのに何故油圧ドラムが無いの?(車を除くバイクの話)
一つは高価になるからですが一旦これは排除しましょう。
もう一つですが、自動車学校でも習いましたよね、ドラムを油圧にするとディスクより排熱が圧倒的に弱いためべーパーロック現象(摩擦熱によるオイル沸騰時の気泡エアー噛み)が多発するおそれがあり、ブレーキ制御が効かなくなる事があります。
これの原因はブレーキシューとドラム又はディスクとの摩擦熱により発生する「熱」「熱」そして「熱」。
見たままでもドラムブレーキだと熱の逃げ道がないので熱が溜まりやすいのが分かります。
街乗りレベルでドラムは100~150℃とかまで上がるそうですので長い下り坂や峠だと300℃などいくのも早いでしょう。
これによりフェード現象(摩擦材の熱によりドラムとシューの間に発生するガスが原因)は発生します。
フェード現象対策:
出来る対策は「ブレーキのかけ方」と「エンジンブレーキを使用する事」、整備観点からは「シューをスリッド入り」にする等。
これがドラムに油圧が無い理由だそうです(再:バイクの話)。
ディスクブレーキ|油圧倍力装置
- ブレーキキャリパーに取り付けられたブレーキパッドが、円盤状のローターに摩擦をかけることで車輪を停止するブレーキシステム。
- ブレーキレバーを握ると、ブレーキキャリパーがブレーキパッドを油圧でローターに押し付け、摩擦によって車輪が停止する。
- ブレーキ力が強く、熱による劣化が少ないため、高性能な車両やスポーツカーに採用されることが多い。
- 構造が複雑で、製造コストが高いため、ドラムブレーキに比べて高価であることが多い。
- 自転車(ロードバイク・マウンテンバイクなど)は油圧の無いワイヤー式がある。
タイヤ回転と連動する金属ディスクを両側からブレーキパッドで挟んで制御する方式。
そもそも何故強い力が加えれるかですが、シューの形状が良いとかドラムのように内から広げるよりディスクのように挟む方が良いとかそういうことでは全く有りません。
ディスクだと外に付けれるので排熱が優れてる為、油圧利用が安全に出来るからです。
油圧ブレーキシステムは、液圧(ブレーキフルード)によって作動して、ドラムのリンク式カムのテコの原理よりも少ない力で強い力を出せるので、軽い力で強い制御が出来る倍力装置の一つでもあります。
そしてブレーキシステム最大の敵である「熱」見たままですが、外にむき出しなのでガスも溜まりにくく、排熱に優れているのでディスクブレーキ=油圧ができる最も合理的な理由だそうです。
ただし「フェード現象」+ドラムには無い「べーパーロック現象」が存在します。
フェード現象 + べーパーロック現象対策:
ドラムと同じく出来る対策は「ブレーキのかけ方」と「エンジンブレーキを使用する事」、整備観点からは劣化オイルは危険ですので「オイル交換(目安:2年に1度程度)」。
摩擦熱による危険現象
フェード現象とべーパーロック現象
- フェード現象
ブレーキシューとハブ又はディスクの間に摩擦材から発生するガスが溜まりブレーキが効きにくくなる現象。
ブレーキシュー周りの温度が300℃を超えたあたりから危険領域との事ですが、10種類など配合されて造られる摩擦材の品質精度によりかなり差があります。800℃位までガス発生しない製品も開発されています。
- べーパーロック現象
油圧システムの油、ブレーキフルードが高温により沸騰して気泡を生みエアー噛みを起こして油圧作動せずにブレーキが効かなくなる現象。
劣化したオイルを使用したり、長期間交換してないオイルを使用していると、気温差やリザーブタンク蓋劣化等で、油の中に水分が蓄積されたりしてブレーキフルードの沸点が下がりますので注意。
ドラムブレーキでは起きませんのでディスクブレーキでの話となります。
●油圧によるパスカルの原理とは?
油圧=パスカルの原理を調べて計算式実験見てみましたが分かりやすい、静止した加圧無変液であれば軽い力と均等圧での作用が可能になるという原理。(動いている流体では、ベルヌーイの定理というらしい)
ちょっと勉強してイラストレーターで作成してみました。
※液種類等の条件はありますが、計算式は「圧力=力÷面積」という凄くシンプルな物。
3倍サイズの異なるシリンダーがあるとして、右側をブレーキレバーとして10Nの力を加えると、ブレーキパッド側では断面積が3倍なので、作動外力は30Nという圧力が生まれるという物。
その反比例として3倍多く距離を押さないといけないという事にもなります。
作動外力 = 0.1 [Mpa] × 3 [cm2] = 30 [N]
ブレーキだと分かりにくいですが、見たまま倍力装置としてめっちゃ分かりやすいのが油圧ジャッキや油圧プレス機だと思います。
ジャッキはシャカシャカシャカシャカしてちょっとづつしか上がりませんが、ハンドル操作の力の何10倍とかの力で車など持ち上げますので、ジャッキの場合は回数(距離)が必要ですが、上の図でいうブレーキレバー側の意味と同じになります。
※逆のことも言えて面積の大きい側から押すと、作用外力は1/3になりますので使い方によっては安全とも言えます。ただし蓋や穴などの圧力抜けなどが生じると、広い方の面積と同じ圧力が小さい方の面積にかかるので、内圧力に関してはめちゃくちゃ危険とも言えます。
したがって上記の事からディスクブレーキは油圧で成り立ってますので、強くブレーキがかかりますので制御力がありますが、ABS等ない場合は事故直前とか人間は瞬間的にギュッと全力握りしたりするのでタイヤロック状態になる恐れもありますよね。
という感じで書いてみましたのでメンテナンスor意識のきっかけにでもなれば幸いでございます。
それにしても一人コケ、一人事故。
全身が痛い。
歳とってくると受け身がたぶん下手になってますし、判断能力が気が付かない間に衰えてるはずですのでとにかくブレーキ云々よりも安全運転が一番ですね。
【事故】一人転倒|ディスクブレーキとドラムブレーキ動画
事故したのはベンリィ110ですが、今回の動画です。