ジャイロUP [TA01]

【ジャイロUP】2stバイクのオイルポンプのシール・Oリング交換とオイルポンプのエアー抜き方法|ポンプ不良による注意点と症状

2019年10月5日

2stジャイロアップやディオ、キャノピー・Xの持病ともいわれるオイルポンプ、およびシール・Oリングの交換方法です。

交換方法と言ってもポンプ事というよりも”オイルポンプの中にあるゴムシール”が凄く良くヘタレるんですよね。
あとついでに”Oリング”もです。

これは理由があって固定方法やパッキンなどシール関係に問題があると思っています。

取付の時には3か所の”エアー抜き作業”も必須ですので重々慎重に作業が必要です。

これの交換方法です。

 

オイルポンプがヘタレたままずっと乗ってたら2つのパターンが起こります。

  • ポンプ自体の不具合となりエンジンが焼き付く
  • シール抜けでオイルまみれになる(タンクの減りが異常に早くなる)
  • 一次圧縮が落ちる
  • 最後はオイルタンクのオイルが全てクランクケース内に落ちる。→オイルハンマー現象でキックも降りなくなる。

と焼き付きよりはオイルまみれの方がマシですが、最悪の展開になります。

メモ

HONDA社のオイルポンプシールは内径”9.5mm”と”10mm”のシールがありますが、ジャイロ後期はシャフトの太さが違うので”内径10mmのシール”です。
0.5mm違うと長い時間でみると大変なことになるので注意が必要です。
前期:ポンプシャフト9.85mm。
後期:ポンプシャフト10.17mm。

 

オイルポンプの役割|2stバイクのみ

オイルポンプは2stバイクには不可欠な存在であり、アクセルを回すことにより2stオイル(エンジンオイル)をエンジン各部へ届ける役割があります。
2stオイル(エンジンオイル)を各部へ送油不可能になった場合は、エンジンは焼き付きます。

原付バイクはスロットルプランジャ式オイルポンプで出来ています。

  • アクセル(スロットルワイヤー)の連動開閉に対する吐出量調整
    長い下り坂などではスロットルを開けないので、オイル排出が遅く峠などではオイル不足の危険あり。
  • エンジン回転数に対する吐出量調整
    こちらは回転数で安心ですが古い原付では採用されてない事あり。

 

トランスミッションと明確に分かれている為、ギアオイルとは異なります。
4stバイクは4stオイル(ギアオイル)のみで大丈夫です。

 

 

ジャイロUPのオイルポンプシール・Oリングの交換作業

それではジャイロUPのオイルポンプを外して、シールを交換していきます。

前準備

まずはカバー荷台カバー類を外して、エキパイまで外します。
エキパイの外し方はこちら。

チェック:エキパイ外し

【ジャイロUP】エキゾーストパイプ・マフラー交換方法

続きを見る

 

この状態になればOKです。(エキパイのみ外して、マフラーは外す必要無し)
※これがかなり腰痛になる作業なのでご注意を!

 

 

オイルポンプを外す

とても作業のしにくい位置に、しかも変な角度でボルトが留まっています。
ですので無理やりしてボルトを舐めたり、クランク側のネジ受けを割らないように注意。
これはHONDAの失敗じゃないかと言われている有名な部分です。

 

外れました。ラチェットとエクステンションバーがあると良いです。
角度がおかしいのでフレームと干渉するので、ソケットはフレキシブルタイプがおすすめで完璧精度の垂直まっすくタイプは向いてません。

 

そしたら引っこ抜きます。外すと分かりますが、ここで留まっていました。

 

ポンプが抜けたら”必ず”クランクの穴にはウェスなどを詰めて物やゴミが落ちないようにします。絶対です。

実はこのまま作業しても問題ありませんが、分かりやすいように一回タンクやホースも外します。

※ここから以下作業は本体に装着したままでも作業可能です。
(分かりやすく一度外して作業してます。)

 

オイルタンク外し

左側に回って”10mm”ボルト2つを外してオイルタンクを外します。

 

黒いセンサーは入ってる部分は指で押さえたまま引っこ抜かずに、”平型端子”のみ2つを抜きます。

 

タンクも綺麗にして横にして置きます。
空気穴には爪楊枝さしてますが中に落ちたら最悪なので気を付けて下さい。

 

 

オイルポンプ一式外し

アクセルと連動して開閉調整するワイヤーを抜きます。

 

12mm”スパナ2本でワイヤー調整固定ナットを緩めて抜きます。

 

あとはキャブレターのオイルパスチューブも抜くとこの形で外れます。

 

タンクやポンプがこれで全て外れました。
そしたらごちゃごちゃがだいぶ無くなりますので”パーツクリーナー”で金属部分を、”ラバープロテクタント”でホース類のオイル汚れを綺麗にします。
この綺麗にする作業はオイル漏れを次回たどったりする為とても大切です。

 

車体側が終わったらいよいよオイルポンプです。

 

 

オイルポンプ|Oリングとオイルシールの交換

Oリングの交換

ここからが重要です。
Oリングを交換します。こいつが貧弱になっていたら、クランクとポンプの隙間からエアーが流入して、一次圧縮漏れを引き起こす可能性がありますので新品に交換します。

 

 

オイルシールの交換

Oリングが終わったら次はオイルシールです。
ポンプシャフト軸を引っこ抜いて、内のピンを外します。

 

ピンを外すと中のシールが外せますので、ペンチやリムーバーなどで引き出して外します。

 

これを新品に交換して完了です。
これで2stジャイロ系およびディオなどの弱点のオイルポンプ漏れが回復します。
ただし、持病のようなものなので定期的にメンテナンスしてあげないとどうせまたなります。
正直これはOリングもシールも、内径と外径はそのままで、厚さ=長さ(高さ)を増せば解決すると思っています。(思ってますがした事はない)

さて、あとは組み立てです。

 

 

オイルポンプを組み立てる|オイルポンプのエアー抜き方法[※重要]

シールの交換は終わったのであとは組み立てですね。
※エアー抜きがおろそかだとエンジンがすぐに焼き付いてご臨終となります。
組み立ては非常に大事でオイルポンプのエアー抜きなどの作業があります。

エアー抜きは2か所

  1. オイルタンクからポンプに繋がるオイルパスチューブ
  2. ポンプからキャブに繋がるオイルパスチューブ

順番にしていきます。

①:オイルタンクからポンプまでのエアー抜き|オイルポンプ自体

キャブやオイルの交換用ホースを利用します。

 

適当に5cm程度に切ってシャフト軸に挿します。

 

これに”電動ドライバーなど”を挿します。
そして車体に付けてる想定と同じにするため、”タンクの高さをポンプより上”にします。
オイルタンクキャップの空気穴へ詰めていた”つまようじ”を外します。

 

早すぎないスピードで10秒程度回転させてポンピングします。

 

ポンプの”シャフト軸”を抜きます。
すると、空気が入ってるので泡が出てきて一緒にオイルが溢れ出てきます。
これを泡が出なくなるまで2~3回すればOKです。

 

エアー抜きが完了したらこのまま本体へ取り付けます。

 

車体へタンクを取り付けて、オイルポンプを押し込んで取り付けて①番が完了です。

 

 

②オイルポンプからキャブレターまでのオイルパスチューブのエアー抜き

ポンプからキャブレターへ繋がるホースです。
こちらは原始的なやり方です。
これです。

 

こいつは100均などの注射針で良いのでヒタヒタにチューブの中をオイルのみにしてから装着します。

 

2stオイルを用意して。

 

注射針に入れて。

 

反対の穴からオイルが溢れ出てくるまで入れます。

 

このままこぼれても良いのでポンプへ装着。
先に、キャブより低い位置にあるポンプ側からです。

 

そうしたら少し取付時にこぼれると思いますので、その分を数滴ほど継ぎ足します。
そのまま溢れながらキャブレターへ素早く取り付けて完了です。

これで②番のエアー抜きも完了です。

 

これでオイル関係のエアー抜き装着が完了しました。

参 考

中盤に「※ここから以下の作業は車体に取り付けたまま可能です。」と書いてますが上記を理解した上で、車体取り付けたまま以下のように可能です。

 

最後に10分ほどアイドリングをして循環するのを待ちます。

 

その際”スロットルは回さずにオイルポンプのスロットル連動ワイヤーだけ”を60秒程度全開にします。熱いのでマイナスドライバーなどでします。

 

焼き付きが心配な人は!

心配な方は念には念をで、ガソリンタンクにもオイルを入れておくと安心です。
これはサービスマニュアルではないので不要ですが一般的な方法でもあります。
30mlほど入れました。

※ちなみにガソリンタンクにしか入れない人もいるみたいですが、ちょっと危ないのでエアー抜きはしっかりしておきましょう。

これで全ての作業が完了です。

ここまで全てすると、最初は白煙が多く出るはずですが、なるべくご近所迷惑かけないように人の少ない時間帯にでも乗り慣らして運転しましょう。

 

ジャイロUPのオイルポンプシール交換作業に必要な部品・工具

部品類:

●オイルポンプ用Oリング

純正型番:91301-166-000
※参考:代用可能ですが純正サイズは”18.3*2.3mm”です。

直接オイルポンプの差し込みクランクと外気を遮断するリングです。
劣化でへ垂れると圧縮漏れが起きますので注意。耐熱は200度ある特殊ゴムです。

 

●オイルポンプシャフト用シール

実はここのO-リングシールはパーツリストにありません。
なぜ??
理由は「シールのみ」の交換がされてませんので”オイルポンプ一式”交換をHONDAが指定してるからです。
純正型番:無しです。

※代用可でしてる人のブログ沢山有りましたが、サイズはおおよそ”内径9.5*外径16*厚さ4”辺りのウォーターシールやオイルシールなどです。
耐熱である必要があります。
これによって何か起きても”完全に自己責任”です。

一応紹介しておきます。

ジャイロUP:シールサイズ9.5*16*4
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●ジャイロUP用オイルポンプ一式

HONDAジャイロUP後期
純正型番:15100-GAG-751
純正型番:15100-GAG-J51

ここは純正部品をおすすめします。

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工具類:

変わった特殊系工具は必要ありませんが、エクステンションバーとディープソケットが必要です。

●ラチェットレンチセット

ベースケース固定部を外すときに奥にあるので使用します。
このセットがあればソケット+エクステンションバー付なのでおすすめ。

 

●ディープソケット”8mm”

ディープソケットは基本”8mmだけ”は圧倒的に一番使うので常備です。
あとはその都度必要になった時ごとで問題ありません。

 

●フレキシブル板ラチェットレンチ

オイルポンプ到達までのエキパイを外すのに必要です。
原付の場合で一番使うのは「8mm」「10mm」です。

 

●注射シリンダー

オイルポンプエアー抜き時に使用します。
安物でも構いませんので何個が持っておきましょう。
4stオイル用・2stオイル用・ガソリン添加剤用・残オイル吸い上げ用など整備では数種類必要になります。

 

●インパクトドライバー

正直、大工さんじゃないので”インパクトドライバー”は安ければ何でも良いです。
アメリカでは大人気のブラックアンドデッカーは安くておすすめです。
ひろぱぱも使用してます。

 

 

ジャイロUPのオイルポンプシール・Oリングの交換|およびエアー抜き取付作業動画

今回のオイルポンプの取り外し・オイルシール交換・Oリング交換作業動画です。
※特にエアー抜きに関してはしなかったらすぐに抱きついて、又は焼き付いてエンジンが動かなくなりますので注意です。

 

オイルポンプ作業自体は簡単ですが慎重さが必要です。
それよりもその前のエキパイ外しがしんどくてしんどくて。。。ですね^^;
ひろし整備人
ひろし整備人

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