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前回の続きでジャイロX(TD02)腰下シリンダークランクの組み立て方編となります。
中でもピストンとピストンリングの取り付け方法は注意が必要です。
ジャイロX腰下エンジンOH
- 腰下エンジンOH①前準備|各装備外し
- 腰下エンジンOH②点検・部品洗浄交換
- 腰下エンジンOH③組立て方法「※今回」
前回の続きとなります。
大まかな順序としては、「ピストンリング取付・クランクシャフト取付・クランク合わせ・各種外回り部品取付」の工程となります。
ピストンリングをピストンに取り付ける
まずはここからですが、ピストンリングは切欠きの向きに注意して下さい。
オイルリング=(サイドレール[上]・[下]・スペーサー)は3つとも柔らかいので簡単に挿入できます。
トップリングとセカンドリングは折れやすいので注意して下さい。
ポイント
広げ過ぎないようにギリギリで広げながら入れていくことがコツです。
こちらも参照>>トゥデイAF67のピストン
ピストンをクランクシャフトへ取り付ける
ウッドラフキーの取り付け方
新しいクランクシャフトを購入した場合はウッドラフキーが付いてませんので古い方から外して付け変えます。
外し方は、古いクランクシャフトになるでしょうから、マイナスドライバーとハンマーで外して良いです。
取付は、新しいクランクシャフトになりますので打撃系ではなくプレス機や万力で圧入していきます。【※動画参照】
必ずシャフトより弱い素材で当て木等を使用します。
クランクシャフトへピストンを取り付けます。
※エンジンオイルをたっぷり塗布して下さい。
注意点:ピストンの向き
これを確認しておかないとサークリップのやり直しとなりますのでご注意を。
クランクシャフトをシリンダーへ挿入
ピストンの合口(切り欠き)の向きを揃えて、エンジンオイルを各部にたっぷり塗布して挿入です。
超大事なオイルシールは交換して丁寧にオイル塗布します。
クランク前後を合わせる
まずはガスケットを塗っていきますが、ジャイロX(TD02)の純正指定液状ガスケットは”1207B”です。
耐熱性は弱めですが、耐ガソリン・耐LLC・耐オイル性能の良いガスケットで使いやすいです。
塗布部分は以下です。
注意ポイント
大事なポイントですが、オイルルートなどを潰さないように、無駄に肉盛りにし過ぎてもダメです。
適量を適所に塗ります。
クランク(シリンダー)とベルトケース(左クランク)を合わせる
2ヶ所のノックピンをしっかり確認して合わせていきます。
合わせる時はグリグリ動かさないように一回で合わせるようにしましょう。(大事)
クランクを合わせたらボルトを入れて、まずは手締めで対角線上に締めていきます。
最後は必ずトルクレンチで規定締め付けトルク「12N・m」で締める。
※普段エンジンオイルを抜くドレンボルトは24N・mで締めて下さい。
これで完成です。
エンジンおよびバイクの心臓部であるシリンダークランクの全オーバーホールが完了したらそれは気持ちの良いものになります。
ただし経験が少ない場合、油断すると失敗する場所でもありますので心臓手術と思って丁寧慎重かつ時に大胆に作業する必要があります。
エンジンシリンダークランクOHに必要な部品・工具類
部品類:
今回は組み立て編ですので前回「腰下エンジンOHのクランク割②|部品点検・洗浄編」で部品は全て洗い出していますので省略。
工具類:
●液状ガスケット
純正指定はスリーボンド社の1207Bです。
耐熱にはさほど強くありませんが、耐エンジンオイル・耐LLC(冷却水)・耐ガソリンに優れた液状ガスケットです。
かなり扱いやすいガスケットとなります。
●トルクレンチ
今回作業中にトルクレンチが狂ってボルトが折れる恐怖があり新規に購入しました。
プリセット型から途中トルクの強さの分かるデジタルへ変更しました。
※ちなみにプリセット型は楽ですが、途中経過トルクが分からないので、整備経験が少ない人が故障に気づかず完全に信用するとかなり大きな被害を招く危険もある事を知っておいてください。
【ジャイロX】TD02腰下エンジンオーバーホール:クランク割③|ピストン・リング取付とクランク組立方法編の作業動画
今回の作業動画です。
流石に心臓部の為、かなり注意すべき点がたくさんありますので心してかかって下さい。