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今回は4stジャイロX[TD02]の電装系およびスイッチスタートの重要部分の装置”ACジェネレーター”の点検と洗浄や交換をする方法です。
ACGスターターと代表バイク例
セルモーターの無いACGスターターでは、「ACジェネレーター=スターター」ですので、キックでエンジンがかかるのにスタートスイッチでもエンジンがかからない場合なんかはジェネレーター(発電機)部分の要チェックです。
4stジャイロキャノピー、X・スクーピー・ズーマー・スマートDio・最近のオートバイなども参考になると思います。
※セルスターターバイクと違い電装系と切り離して不具合原因追及できませんので一緒に点検する形になります。
※スターター故障=ジェネレーター故障と繋がりますので他電装系にも不具合がでます。
※メリットは作り手のコストが安いことや静か、デメリットは乗り手側の修理代が高くつく事です。
参考:ひろしバイクどっとこむ
※上記はACGスターターの話ですが、電装系のみ不具合の場合、AC(交流)ジェネレーターだけでなくDC(直流)へ変換して各部品へ電気を送るレギュレータ(レクチファイア内臓)などの異常も考えられますのでたどっていく必要もあります。
※点検のみの人はバラさないでカウル外してすぐに電通点検可能です。
ACジェネレーターが故障すると
そもそも電気を造る一発目の発電の場所です。
こんな時注意!
- スイッチでもクランクセルが回らない。(スイッチ側不良除く場合)
当然ACGスターターの場合の話です。 - ウィンカーの挙動不審・ヘッドライトが付かない・すぐに切れる。
- エンジンかけたとたんにヒューズが一瞬で飛ぶ。
などなど他にも電装系不具合がたくさんでてきます。
参考:ACG(交流)→レギュレータ・レクチファイア(整流・直流変換)→CDI(点火時期調整+50倍程度昇圧)→イグニッションコイル(さらに昇圧100倍程度)→プラグ(点火爆発)。
※DCジェネレーターもありますが一般的には上記です。
【ジャイロX】ACジェネレーターの外し方
まずは冷却装置を外す必要があります。
こちらに書いています。
次に”24mm”でホイールロックナットを外して”右リヤータイヤ”を外します。
”10mm”で”リヤーダストシール”を外します。
”スプラッシュガード”を3か所の爪から外す。
ボディ”アース”を”10mm”で外す。
ブラケットの固定ボルトを2つ外す。”12mm”です。
”8mm”で”ラジエーターベースボルト”4つを外す。
上から覗いてプレート裏の”ウォーターホース”を外します。
これで引っこ抜くと”ラジエーターベース”が外れます。
※ブラケット部分を持ち上げながら外す必要があります。
金属のウォーターパイプを外します。
”8mm”で”クーリングファン”を外す。
”17mm”で”フライホイールナット”を外す。
※回転するので”ユニバーサルホルダー”を使用します。
次はフライホイールを外しますが工具が必要です。
フライホイールの外し方
チェック✔:特殊工具
-
フライホイールプーラーの原理と使い方
今回はバイクの発電機についているあれ!フライホイールの取り外し方です。 ジェネレーターもしくはジェネレーターよりも奥をばらして整備 ...
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”フライホイールプーラー”を使用して”フライホイール”の磁力から引っぺがして外します。
3ヶ所の”六角穴付きソケットボルト”を外す。
”クランパー”を”8mm”で外す。
”3Pカプラー”と”6Pカプラー”を外す。
”8mm”で”ステーターベース”を外す。
これで”ACジェネレーター”が外れます。
交換・清掃などして完了です。
※不具合でているときは「焼け・焦げ・大量のサビ・カプラーの焼け溶け等」があるので要確認です。
ACジェネレーター(ACGスターター)の点検方法
※点検のみはばらさずともカウルのみ外せば可能です。
まずは車体の”キーをON”にして通電してあげます。
”6Pカプラー”のみを車体へ繋ぐ。
”ジェネレータ側の3Pカプラー”で計測(車体側ではない)。
調べるのは”抵抗値(Ω)”です。
※適正数値は[0.05Ω~0.2Ω]です。
次に”ジェネレーターとボディアース間”でのショート・漏電チェックです。
問題あれば交換です。
新品のコイル巻きなおしてカプラー新品にしてと出来る人は修理です。
ACジェネレーター(ACGスターター)の洗浄方法
”パーツクリーナー”と”クレ226など接点復活剤”です。
とくに三極をまとめる”アングルセンサー”の割れや故障は致命的交換です。
もちろん断線やカプラーの焼けや溶けも確認しながら汚れやサビを落とします。
フライホイールの内側も綺麗にします。外側は汚れ落としで。
※ここのサビを強酸性のサンポールなどで落とすとごっそりピカピカになりますが、完璧な塗装しない限り一か月後には今より凄いサビが発生しますのでしないようにお気をつけて下さい。
最後に”接点復活剤”を薄く吹いて、完了です。
※取付の時はビショビショNGです。
これで清掃も完了です。
軽い症状の場合はこれでACGスターターが直ることもかなり多いはずです。
ACジェネレーターの取付の注意点
あとは取付だけなので注意点のみ抜粋。
ステーターベースの”ノックピン”と”ACGの溝”を合わせる。
ステーターベースの規定締め付けトルク”10N・m”で締める。
”ステーターコイル”の”六角穴付きスタットボルト”を規定締め付けトルク”12N・m”で締める。
”クランパー”を凹凸に合わせて”10N・m”で締める。
フライホイールを被せる際は、クランクシャフトの”ウッドラフキー”と”フライホイールの溝”を一致させる。
フライホイールは”ユニバーサルホルダー”で固定して”44N・m”で締める。
”締め付けタイプユニバーサルホルダー”でクーリングファンを”8N・m”で締める。
金属ウォーターパイプの注意点[重要]
ウォーターパイプは”長い方が手前”です。
適当にしてるとず~っと締まりません。
ラジエーターベースの注意点
4本の留めボルトのうち、一番下のワイヤーホルダーと一緒に留める1本だけ短い。
規定締め付けトルク”10N・m”で対角順に締める。
あとはアースの装着~タイヤ装着などで完了です。
「冷却装置」の装着と「冷却水のエアー抜き」をしてカウル系装着して全て完了です。
ACG(スターター)修理後の確認
ヘッドライトやウィンカー・スイッチスターターが壊れてたのが復活する人はかなり多いはずです。
セルモーター式スターターのように切り離して考えれないので作業工程数が多くなります。
ACジェネレーターオーバーホールに必要な部品・工具等
部品はジャイロXの場合ですが基本工具は同じです。
部品類:
●ステーターCOMP|ACジェネレーター(ACGスターター)
純正番号:31220-GFZ-003
だいたい一式交換が多いはずです。
工具類:
●トルクレンチ|エンジン周り[6~30N・m]
エンジン触る絶対必要条件ですので持っておく必要あります。
これを使用してますが、正直トルクレンチに関してはもっと精度の良いやつの方が良いかもしれませんね。
ただしエンジンOHでも使用するので”10N・mトルク以下”で対応できる中ではそこまで悪くはありません。
バラシでは必要ありませんが組み立てで必須工具です。
●トルクレンチ|足周り[30~180N・m]
フライホイール締めは44N・mとボチボチ強いので足回り用が必要になります。
これはエンジン周り用に高価なトルクレンチを購入いておけば必要無い場合もありますが、足とエンジン周りはトルクの桁と負担が全く異なりますので2つ持っておいた方が工具寿命と精度の狂い的にも良いです。
●電気テスター
これは一つは必ず持っておきましょう。
配線に電気が来ているか、そして何Vで何A来ているかが即座に分かります。
通常の電気針+ミニクランプ付き
※クランプ式はほとんどがACのみで、0.1Aが限界のテスターが多いです。
※クランプ式はごちゃごちゃ配線の場合掴みが太いのでしんどい作業になります。
※安物すぎるものは小数点以下表示に注意。
※おすすめは”AC/DC対応・0.01A”を捉える事が出来る精密な”半クランプ”のこいつ。
これがこの価格。家庭の配線にもおすすめです。
※機能やサイズなど異なりますので型番間違えないように要注意。2012番RAです。
共立電気計器 (KYORITSU) 120A RMS AC/DCクランプ付デジタルマルチメータ KEWMATE 2012RA
使えば唯一無二のAC/DC対応0.01A商品と分かります。(普通3万円以上)
トラスコからも近似価格で出てますがクランプと本体が一体型でしかも0.1Aまでしか電流分解出来ません。
テスター注意点
※壊すときは大抵電流(A)もしくは電流から電圧に針をつけたまま切り替える時です。小学校の時習いましたが大き目設定値からどんどん小さく計測していきますがヒューズ入りですが念のためお気を付けください。
※怖い人はバイクの場合、電圧・抵抗値の2つを使用すればテスターを壊す事もありませんし、これはデジタルなので(+)(-)逆に付けてもマイナス表記されるだけで壊れません。
●ユニバーサルホルダー|汎用
当ブログも良く出てきますがこいつは駆動系から電装系・エンジン系までいたるところで活用します。
●ユニバーサルホルダー|プーリーホルダー
使用頻度は低いですが必要です。
●フライホイールプーラー
ここでしか活躍する必要のない工具ですが必要です。
●ヘックスビット|六角棒スパナ
ジェネレーターのスタットボルトは六角穴付きボルトなのでこれが必要です。
このタイプでないと取付の際にトルクレンチで規定トルクを掛けれません。
ACジェネレーターオーバーホール作業動画
今回の作業動画です。
※点検自体はカウル外した段階で可能です。