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4stジャイロX[TD02]の腰上エンジン[シリンダーヘッドカバー・シリンダーヘッド」のオーバーホール:組立て・車体取付作業編です。
※前回の続きとなります。
前回記事はこちら>>腰上エンジンOH②:点検洗浄・部品交換編
腰上エンジンOH
- 前準備・バラシ
作業しやすいように前準備[マフラー外し・冷却水抜き+冷却装置外し]をして、「シリンダーヘッドカバー」→「シリンダーヘッド」→「シリンダー」の順で外す。 - 点検・洗浄・部品交換
外した部品パーツを点検・分解・洗浄もしくは交換します。
部品取寄せに時間がかかるので少し予想しておくと良いかもしませんね。 - 組み立て[※今回はこちら]
部品パーツを組み込んでいき組み立てます。
※通常組上げ後にタペット調整が必要ですがこの車両は出来ません。
それでは前回の続きで組み立てていきます。
まずはシリンダーヘッドへの部品組み立て方法
エンジンバルブ・ステムシール装着
燃焼室側からシリンダーヘッドへエンジンバルブを挿入。
エンジンバルブシールをきちんと枠にはめ込んで置く。
【※重要】ステムシールを挿入。新品に交換します。
注意ポイント
ステムシールが劣化・ひび割れしていると”オイル下がり”の原因になります。
ひどい場合は一週間~一か月でオイルが全て無くなります。
参照:オイル上がりとオイル下がり
バルブスプリングを置く。(※バネ目の細かい方が奥ステムシール側です)
バルブリテーナーをスプリングの上に置いてはめ込む。
バルブスプリングコンプレッサーを使用して、コッターピンを入れる。
参照
使い方が分からない人はこちら>>バルブスプリングコンプレッサーの使い方
最後にシムを置いて、蓋をします。
ロッカーアームがここを叩いてステムが劣化するのを防ぎます。
これを「吸気(IN)2本・排気(EX)2本」の「合計4本のエンジンバルブ」に同じ事をします。
センサー類装着
センサーは水温センサーとO2センサーがあります。
水温センサーを19mm・O2センサーを17mmのスパナで取り付けて締めます。
締め付けトルク
【水温センサー17.7N・m】【O2センサー25N・m】
参考
水温センサーが吸気側・O2センサーが排気側です。
ロッカーアーム装着
吸気側シャフト
※吸気側だけオイル循環穴があり、この穴が左側(カムシャフト側)です。
シャフトを通してロッカーアームとサイドスプリングを装着。
排気側シャフト
排気側はシャフトの向きはありませんのでそのまま挿入してロッカーアームとサイドスプリングを装着。
カムシャフト装着
カムシャフトはカム山の向きに注意してしっかり奥まで挿入。
これ間違うと走らない!
【※重要】カム山(90℃で2つ側)の向きが「クランク側」です。
しっかりと奥まで挿入したらシリンダーヘッドの組み立ては完了です。
あとは組み立てたシリンダーヘッドを車体へ取り付けていきます。
シリンダーヘッドの車体への取り付け方法
組立てたシリンダーヘッドを取付け
シリンダーヘッドガスケットを装着。チェーンとチェーンガイド上下を左の穴に通して、装着。
※2カ所のノックピンの存在と位置を確認。
これでシリンダーヘッドをゆっくり挿入します。
ガスケット同様、チェーンとチェーンガイドを穴を通してゆっくり押し込んでいきます。(ノックピン合致は絶対)
カムスプロケット装着
次にカムスプロケットの装着。
最初の位置とカムスプロケットーの横棒印を一致させて装着。
タペットクリアランスについて
通常この段階でタペットクリアランスの調整をしますが、この車両は見ての通りタペット調整ネジが無いので出来ません。
ただしマニュアルにはバルブクリアランスがあるので念の為記載しておきます。
IN:0.1+-0.03
EX:0.21mm+-0.03
マニュアルにもない為、やり方分かる人是非教えてください。
次に、エンジンボルトを装着しますが、吸気側のロッカーアームシャフトの向きに注意!
半円に欠けている方を手前にしないとプレートがきちんとハマらないようになっています。
この状態にします。
そして「エンジンボルト4本+プレート」+「クランクボルト2本」を締めます。
規定締め付けトルク:12N・m。
この時左クランクのドライブフェースを少し動かし圧縮上死点であることを確認します。
そして、ドライブフェースが「T字印でクランクの出っ張り印」と一致している時、「①チェーン印」「②スプロケット印」「③プレート印」が横一直線で一致している事です。
注意ポイント
分からない人は動画参照。
圧縮上死点が分からない人はこちら>>圧縮上死点とは|排気上死点との違い
アウタマグネット装着
あと少しです。左側からアウタマグネットを装着して取り付けます。
磁力が強いので普通には締めれませんのでピックアップツールで掴んで回すなどの工夫が必要です。【※動画参照】
規定締め付けトルク9N・mです。
この時カムシャフトが回るので、片方の手で左クランクケースのドライブフェースを抑えておく必要があります。
カムチェーンテンショナー装着
ロックがかかるまで締め込んであげて。
クランクへ装着して”8mm”でボルトを締めます。
必ずボルトを締めた後、マイナスドライバーで緩めてロックを解除して、カムチェーンへテンションを掛けます。
最後に蓋を忘れないように締めて完了です。
このカムチェーンテンショナーのプラスねじは規定締め付けトルク4N・mです。
最後の最後にシリンダーヘッドカバーを締めて完了です。
あとは「配線・ホース関係」を元通りにして、「左クランクケースカバー」、「マフラー」、「車体とエンジン結合」、「ブレーキワイヤーとタイヤ」、「水冷装置の装着と冷却水のエアー抜き」をして全て元通りに完了します。
シリンダーヘッド組立て・車体取付に必要な部品・工具類
部品類:
前回記事で洗浄・交換部品は割り出してますので今回はありません。
前回記事:シリンダーヘッドの部品点検・洗浄交換方法>>
工具類:
●ピックアップツール
アウタマグネットのボルトを仮締めする時に使用します。
バイクだけではなく、排水溝の掃除などごっそり髪の毛取ったりもできます。
●トルクレンチ|エンジン周り[6~30N・m]
エンジン触る絶対必要条件ですので持っておく必要あります。
これを使用してますが、正直トルクレンチに関してはもっと精度の良いやつの方が良いかもしれませんね。
ただしエンジンOHでも使用するので”10N・mトルク以下”で対応できる中ではそこまで悪くはありません。
バラシでは必要ありませんが、今回の作業である組み立てで必須工具です。
シリンダーヘッド組立て・車体取付の作業動画
今回の作業動画です。
これでジャイロX[TD02]の腰上エンジン・シリンダーヘッドのオーバーホール作業が完了しました。