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ジャイロUPのパーキングロックレバーを下げている(解除)のにロックがかかったままで動きません。
この場合の点検部分はパーキングブレーキワイヤーの固着がほとんどの場合が多いです。
※もしくはロック調整部①を締めすぎている(上げすぎている)場合もあります。
レバーを上げる時に固すぎ(力が要り過ぎる)の場合です。
逆に、パーキングロックワイヤーを最大限に調整してるにもかかわらず「パーキングロックレバーをロック(上げている)してるのに、ロックが掛からない」場合はワイヤー伸びorギアボックスのギア消耗の場合が多いです。
症状としては「ロックしてるのにガガガガーと音がして動く」です。
こっちのパターンの方がタチが悪いです。
今回は逆のパターンですが見ていきます。まとめると以下。
現在車両の症状
- パーキングロックレバーを下げている(解除)のにロックが掛かったまま動かない。
- パーキングレバーの引き上げが固すぎる。
※まずはワイヤーの固着を疑うため、ワイヤー整備から。それでも治らない場合はギアボックスの点検。
基本的に症状の原因と補修・修理方法は部品が異なるだけで、ジャイロUP・ジャイロX・ジャイロキャノピー全て共通です。
ジャイロUPのパーキングロック不良の原因と修理
まずはレバーが固すぎるのでワイヤーの点検ですが、どこかに原因はあるはずです。
この症状「ロックギアが外れない」の場合の多くは、ワイヤー固着が原因です。
逆に「ロックギアが掛からない」場合の多くは、ワイヤー伸びorギア山の消耗原因です(ワイヤー不備無し前提)。
今回は前者の症状。
その他にレバーがスカスカになる、断線や引き金折れなどもあります。
パーキングロックワイヤー点検メンテナンス|レバー側
まずは手元から足元までのワイヤーチェックです。
ロック調整部①のメンテ
レッグカバーを外す。
ワイヤーオイルを注入。
ロック部①のナットを緩める。
※緩める(ナットを下げる)とロックのかかりが甘くなります。
現状固すぎる為、引っ張り過ぎてロックが外れてない可能性があるので5mm程度少し緩めます。
下げ過ぎるとこんとはロックギアが噛まなくなりガガガガーとギアを削りながら動くので注意。
ロック調整部②のメンテ
次に足元の調整です。右側下からのぞき込んでボックスの蓋を外します。
上にロック部①を緩めた分、ここも緩みます。
締め込みます。
筒からフランジ部分が見えるか見えないかくらいがちょうど良い位置です。
引用:HONDAマニュアル
最後にワイヤーオイルの次足ししてレバーを上げ下げしていきわたらせます。
基本的にレバーからロック調整部まではワイヤーの引きが強いため引っかかる事はめったにありません。
問題は次です。
【※重要】後輪から二次ワイヤーをメンテナンス|ロックギアボックス側
次にロック調整部②からパーキングロックギア手前までをメンテナンスします。
「荷台」・「右フレームカバー」・「右リアタイヤ」を外してジャッキを掛ける。
リアサスの向こうにパーキングギアの「ワイヤーボックス」があるので、2つのボルトを外します。10mmです。
上は簡単ですが、フレームを外してない場合大変なので、下のボルトはメガネレンチを使います。(ナめるのでスパナ禁止)
ロックの状態を見ます。
パーキングレバーを上げ下げして確認します。
参考
これを見てワイヤーが引っかかってると判断できる人はかなりジャイロ見てると思います。5mm程度出入りしています。
※ワイヤーが出入りしている黒い部分に注目です。
1.5cm程度以上はワイヤーが皮膜を出入りする必要が有ります。
(※1cm程度では固着して引っかかっています。)
ロック位置の高いギアボックス側のこちらからワイヤーオイルを注入します。
パーキングレバーを上げ下げしながら1秒間を10回程度繰り返します。
手で押さえてるので多少のブレがありますが、最初の引っかかりと全然違うのがわかるでしょうか?5mm以上は引き幅が変わりました。
再度パーキングレバーを上げ下げして見てみます。
写真は抵抗ある状態ですが、抵抗ない状態でも同じ幅動けばOKです。
※ワイヤーが出入りしている黒い部分に注目です。
かなりスムーズになりました。これで引っかかりも無くなりました。
5mmだったのが→13mmまでワイヤーの出入り幅が復活。
ただし、どこかにワイヤーが固着した原因があるはずです。
ワイヤーをたどっていきます。よく見ると「んっ!?」ワイヤーの被膜が切れています。
ちなみにここのライン前後15cmあたりは、めちゃくちゃよく破けます。
確か昔、12台中10台ほど同じここが破けていたと思います。
地面すれすれのここが破けると、水たまりの水、砂が入りワイヤーが固着します。
補修方法
亀裂部の被膜をしっかり拭きます。脱脂(パーツクリーナー等)したい所ですがゴム皮膜の為禁止。
皮膜をゴムシールで「くねって食い込まないように」平らなままぐるぐるに巻きます。
上からビニールテープを巻きます。
マフラーエキパイに近いので耐熱タイプです。
何色でも良いですが、補修してますよ~と分かると後で色々と役立ちます。
最後にタイバンドで締めて完了です。耐熱性は無いのですが、外でも長持ちする耐候性です。
症状がひどく中がサビている場合は、パーキングロックワイヤー一式を交換です。
最後に組み立て前にゴム部に「ラバープロテクタント(ゴム復活剤)」を吹いて完了です。
ワイヤーのゴム部と。
ギアボックスの金具の裏側のオイルシールです。
これで「パーキングロックレバーを下げている(解除)状態なのに、ロックが外れない症状」が直りました★
- 原因:ワイヤー皮膜の切断により、中の固着によるワイヤー不良。
- 対処:ワイヤーオイルで皮膜内を綺麗に洗い、皮膜切断部の補修。
レバーを下げるときちんと動くようになりました。いや、普通ですが(笑)。
※ワイヤー修理で直らない場合:
この症状の場合ではそこまでありませんが、ギアボックス内のロックギアが斜めになっていたり、金属摩耗でひっかかりが削れている場合があります。
今回とは逆の症状で、ワイヤーをしっかり固く調整してるにもかかわらず、パーキングレバーを上げている(ロック状態)のにロックがしっかりかからない場合はギアボックス内のギア山の摩耗消耗がほとんどです。
こちらの症状もジャイロでは良くあり、1台ほどあるので次回整備したいと思います。
ちなみに前回も書きましたが、ジャイロはロック掛かったままでも後輪どちらでも良いので片方浮かせれば安全な場所まで移動は出来る設計です。
パーキングレバー解除(下げている)してもロックが外れない場合の補修工具など
基本的に水道工事みたいなものですが、洗浄するための円滑オイルは必須です。
今回使用したのはこちら。
●ワイヤーオイル
バイクではワイヤーだらけなのでめちゃくちゃ活躍します。
ワイヤーと被膜の間に入る超極細金属ノズルのこれはおすすめです。1本で5年位もつでしょうか。一つは必ず必要です。
●ラバープロテクタント
これも必須ですね。あらゆるゴムの復活剤。めったに開ける事のない所開けたときなどついでに吹くだけなので超多用しますので。ゴムパッキンのひび割れ防止などにもなります。
●ゴムシールテープ
水道管工事やエアー工具などで良く使用しますが、バイクでもオイルのドレンボルトなどでも使用可能でかなり重宝します。
15mで100円程度なので5年10年ともつでしょう(笑)。
●ビニールテープ
とにかく「耐熱」「電気絶縁」タイプを一つ持っておけば全てに対応できます。
●タイラップ
これもバイク整備ではしょっちゅう使用します。
小サイズ~大サイズまで持っておくと何かと便利です。
特によく使用するのがキャブレター付近やブレーキ付近ですので小タイプは必須。
【ジャイロUP】パーキングロックレバー解除(下げている)してもロックが外れない場合の作業動画
動画撮影すると色々としんどいのですがこんな感じです。
動画最後の方の、直った後のパーキングロックのギアの掛かりと外れがしっかり出来ている事が音で分かります。
追記:2019年1月23日
【ジャイロUP】【X】【キャノピー】共通作業動画:パーキングロックが効かない場合の調査方法と修理方法
後日この症状とは逆に、パーキングレバーを上げているにも関わらず、ガガガガガ~っと効かない場合の修理をしました。
車体の重たいジャイロがロックかかったまま動かないとしんどいしんどいですからね。
Pロックの色々な症状