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先日坂道で長い信号待ちでのアイドリング状態後、発進しようとするとエンストしたとの事でこれの点検・修理です。
4st小型バイクでは定番の症状ですが原因を確定させていきます。
このエンジンストール現象が起きた後は数回程はエンジンかかったのですが後にセルだけ周りエンジンがかかる事はありませんでしたとの事。
まずはバイクの把握ですが、「AF67:4stバイクの空冷Fi車両」という事。
症状
- 坂道での信号待ち後、発進するためにスロットルを開けるとエンスト。
- のちに3~5回程度はエンジンかかるがその後一切かからない。
- セルは回るが初爆が出来ない。
症状としては上記の通りですので考え方予想としては以下。
- 火花が飛んでいなくて爆発が起きてない。
- 燃料が不足または詰まって爆発が起きてない。
- 圧縮が抜けて点火が起きてない。
早速見ていきますが以下を頭に。
※仮に小型4stバイクで同じ症状でもキャブレター車の場合、人為的に触れる事の出来るスクリュー・ジェット等が多いためキャブレターを疑いますがFi車の場合は基本スロットルボディ内の汚れやゴミ以外はコンピューター管理の為触れませんので、キャブ車よりも原因絞り込みが簡単です。
急なエンストの点検方法
まずは点検何事も基礎からです。
エアエレメントとオイルの状態を見て適正内圧か確認するも異常無し。
(オイル量と色・エアエレメントの汚れの見るだけ)
点火系部品の確認
プラグのチェック
プラグ自体の確認をします。
この時プラグを外す前にキックやセルを何度か回しておいてください。
プラグを外して燃料が来ているかの確認をします。
点火部品装置のチェック
スパークプラグチェッカーで、バッテリー~イグニッションコイル~プラグキャップまでの異常が無いかを大まかに確認。
ポイント
バイクの場合、2万V以上で火花が飛べばOKですが、AF67は毎回2.5万V程度まで飛びますので参考目安にして下さい。
火花が飛ばない場合は点火電装系の部品のどれか、又は複数に異常があります。
※スパークプラグテスターの使い方はこちら>>
燃料装置部品の確認
今回はAF67は、フューエルインジェクション車(Fi車)と冒頭で書きましたがインジェクターに詰まりが無いかの確認もしておいて下さい。
ポイント
3~5年も何も整備していなければ汚れも出てくるでしょう。一応10年程度は持つとの事です。
①:超音波洗浄機編:フューエルインジェクションの洗浄方法はこちら>>
②:シリンジポンプ洗浄機編:フューエルインジェクションの洗浄方法はこちら>>
異なるバイクで試してますが、私的には②シリンジポンプ編がおすすめです。
冒頭での3つの予想のうち、①点火がきちんと出来ている事と②燃料がプラグまで来ている事が確認出来たら残りは一つ(③圧縮漏れ)です。
エンジンバルブのカーボン噛みによる圧縮漏れの修理|2つの方法
圧縮漏れと言っても色々あって、クランク周りのシールが外れてたり、ガスケットが抜けてたりと色々ありますがそれは整備ミスに当たりますよね。
小型4stバイクの場合、使用経年劣化による圧縮漏れの99%は「EX(排気)エンジンバルブのカーボン噛み」による圧縮漏れがほとんどと思って良いです。
バルブのカーボン噛み修理方法としては2つあります。
- シリンダーヘッドのオーバーホールをしてエンジンバルブの清掃・交換
シリンダーヘッドOH|エンジンバルブ交換方法はこちら>>
メリット:完璧にOH可能・デメリット:手間がかかる - エンジンを開けず吸気バルブ側からカーボン落とし溶剤を注入してセルモーターの力で掻き出す
カーボン除去簡易編|誰でも出来る方法はこちら>>
メリット:誰でも出来る・デメリット:再発サイクルが早め
今回は②番の誰でも出来る方法でしてます。【※動画参照】
注意ポイント
※注意:プラグ穴からする場合はすぐに組み立ててクランキングしないように注意!ハンマー現状でエンジン故障、特にピストンりリング折れします。
元通り組んで、セルのパワーで無理やりカーボンを掻き出すのでバッテリーのパワー消耗が激しいのでもう一つ直結します。(+と+)(-と-)を繋ぐ。
注意ポイント
※注意:念の為異なる電圧のバッテリーや車の大容量バッテリーは接続しないように!
それ用に造られてる訳ないので、カプラー焼け・配線焼け・ショート・電装故障起こす可能性は0ではありません。
あとはセルモーターの力でエンジンをかけていきます。
※10秒セルを回すと10秒程度は休憩が必要ですので気長に作業します。
エンジンコンディショナーや溶剤を一緒に入れてるので当然エンジンはかかりにくいのと、白煙がかなりでますので、日にちを開けずにその作業後のうちに吐き出しておいてあげます。
4st-Fi車でのバイクのカーボン噛み予防方法
予防①:燃料重鎮時間を待つ。
Fi車はキーをonにすると燃料ポンプ音が「ウィ~~~ン」と鳴りますので、それの音が終わるまで待つと良いとの事です。
私は気休め程度かなとは思ってますが、カーボンが不完全燃焼からくるものであるので一概にないとは言えません。
確かに取扱い説明書にも書いてますしね^^;
予防②:小型4stバイクはフルスロットルをほどほどに!
2stバイクや、大型バイクと違い4stの小型は非常にトルクが弱いです。
どのバイクも車であれ完全燃焼というのは不可能ですが、クランキングパワーがある車両はマフラーへ吐き出すことが可能です。
小型4stの場合は非力な為その力が無いので、フルスロットルを多用し過ぎると不完全燃焼の蓄積カーボンを溜めやすいうえに、吐き出す事が難しいためカーボンがバルブに噛みやすくなります。
その為、実際カーボン噛み症状は「小型4stバイクに多い」所以となります。
予防③:添加剤の使用でカーボン噛みを防ぐ
ガソリンタンクから入れるだけでエンジン内を洗浄して塗膜を貼り予防も出来る洗浄系点火剤です。
ヤマハ「PEAカーボンクリーナー」・ワコーズ「フューエルワン」が有名どころです。
使用する量も少ないので毎回入れずともたまに入れてあげるだけで一番効果テキメンな予防ができます。
【トゥデイAF67】カーボン噛み点検修理で必要な部品・工具類
部品が前期と後期で異なる事がありますのでご注意下さい。「AF67前期車体番号:100***~120***代・それ以外:後期」。
私のは前期です。
部品類:
●エンジンバルブ[EX排気]
純正番号:14721-GFC-900
AF61/AF67共通。基本的にはカーボン噛みが起こるバルブは排気側[EX]です。
工具類:
●スパークプラグテスター|目安電圧(v)付き
一発でジェネレータ・CDI(キャブのみ)・イグニッションコイル・プラグコード・キャップの状態が分かります。
2.5万V到達すれば12vの原付バイクならバッチシです。
光るだけのタイプだと生きてるか死んでるかのみで、おおよその目安すら分かりません。
●エンジンコンディショナー
カーボン除去の強い味方、安価でなかなかの強力な除去が可能で、泡タイプで漬け置きにも向いてます。
●添加剤(洗浄系ガソリン点火剤)
ワコーズの「フューエルワン」は一番メジャーで定番です。
●バッテリー
純正番号:YT4L-BS(ユアサ)・FT4L-BS(フルカワ)
最初の要です。
※整備慣れしてる人は液別タイプがおすすめです。
【トゥデイAF67】症状別トラブル修理:カーボン噛み点検修理・作業動画
今回の症状別トラブル修理作業動画です。
アイドリング中エンスト・アクセル開けてエンスト・発進でエンスト・急にエンストとエンスト祭りになります。